【和訳】If I Get High/ Nothing But Thieves - 逃げるんだ、またきみと会えるまで-
※同一歌詞の掲載は省略しています。
▼Official MV
+あとがき
とりあえず、MVが素晴らしいのでぜひ見て欲しい。私は毎回泣いてしまう、、何度見ても涙があふれてくるし、なんだったら久しぶりに見たら序盤でもうダメだった。
*MV未視聴の方へ>この先ネタバレありです
タイトルの"If I get high"とはどういう意味か。Get highとかHigh自体には、「偉そうに振る舞う」とか「(麻薬やお酒で)ハイになる」とかそういう意味があるみたいですが、今回のは「死ぬ」なのかなと思いました。
MVでは青年が母親を思い出しているシーンはとても美しく温かいですが、父親とのシーンは暴力的で粗野という印象があります。それらが青年と両親の関係性を表していて、対比されています。作中では母親が亡くなったかどうかまでは明言されていませんが、歌詞の始めに「あの世とこの世」的な表現が出ているのでそうなのかな〜と。青年にとって、母親と過ごした思い出が心の支えなのでしょう。
母親を思えば思うほど、体は宙へ浮き高くまで昇っていこうとしますが、父親の声、生活音、あらゆる現実が彼の夢を醒すのです。最後のクライマックスシーンのあとのエンジン音が虚しく響く、あの情景描写・演出は本当に素晴らしすぎて素晴らしいです。(?)
私的には彼が不憫で悲しい、というより避けられない大切な人の死や別れ、苦しみ、家族を養うという責任、これからの人生、それぞれが背負っているものの重さを思うと誰が悪いわけでもないのに、現実だけがただただやってくる、その残酷さに打ちひしがれてしまいます。生きるって大変だよね。
つい語りが長くなってしまいましたが、この歌はThe 1975の「I Always Wanna Die」(和訳してるのでよかったら見てネ)とは違って一言も「死にたい」とか「死ぬ」とかは言っていませんが、「救いとしての死」をどこか望んでいるような、フランダースの犬のラストシーン的なカタルシスを感じます。
(最後"現実"に阻まれているけど)
様々な宗教で「死」はさまざまに定義・解釈されておりますけれども、昔から人間がそれだけ生きるということに苦しんできたということでもあるのかなと思います。何千年何万年経っても、どんなに科学技術が進歩しても、人間は人間のまま、もがき苦しみながら生きていくのでしょうか。しかしそれこそが苦しみであり、喜びなのかもしれません。
あ、関係ない話で熱くなって全然歌詞のこと話していませんね。
歌詞自体は繰り返しが多いのですが、楽曲展開がドラマチックかつ、ボーカルの叫ぶような歌唱も相まって、非常にエモーショナルです。同じ言葉であっても、場面転換を経てニュアンスが変わっていく、ストーリー性を意識した和訳にしてみました。
個人的には
I feel my lungs every night
Not long to wait
And if I do this thing right
I dream of our escape
Verse2が特に「死」を感じさせるフレーズだなと思っており
「ちゃんと息できたら生きられる、幸せになりたい」とかではなくて
「苦しくなってきた、やっとここから逃げられそう」なのが切実だし、不穏。でもここが一番、訳に迷いました。こういう曖昧な表現って訳すのムズカシイです。