父からの言葉①
戦時中生まれの父親はとても厳格で、神経質といったらよいのか、めったなことでは褒めてはくれませんでした。
が、10年程前、私が勤めていた会社が倒産し求職活動するも、スキルが生かされる職もなく(田舎なので特に)、しばらくの間実家でお世話になっていた頃、気も滅入ってよく父親とは口げんかをしていました。
ある時、「1カ所の会社でしか勤めたことのないお父さんにはわからないよー!」と怒鳴って、父親を押し倒してしまいました。その時、あんなに力の強かった父親が私なんかにあっさりと倒されてしまったことにショックを受け、ぼう然としてしまいました。素直に謝ることもできず、おろおろしていたら父は「頑張れとは言わね。おめ、いっづも頑張ってるべ。負げねでな(負けるなよ、の意)。」とだけ言って寂しそうな顔を浮かべていました。
あれからほどなくして私も職が決まり、結婚もしましたが、なかなか子供に恵まれず、一昨年の夏ようやく生まれましたが、孫の顔を見せることなく父は旅立ってしまいました(そのあたりのいきさつは、後日また)。
親となった今、父がどんな気持ちであの言葉を吐き出したのか、すこし解るような気がして、父の面影を確かめるかの如くあの時の言葉の意味を時折噛み締めてみたりします。
「頑張れは言わない。負けるな。」
時折顔を覗かす、自分の中にある弱さに負けるな、と。
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