伝統ある黒人教会のボランティア:フィラデルフィア
月曜日は週一度のボランティアの日。伝統的に黒人教会と言われるところで食料品をくばるグループに参加させてもらっている。さそってくれた人は、今はチベット仏教徒になったが、もともとは同じクエーカーの集会で知りあった。
グループのリーダー格は二人いて共に70歳代半ばの女性たち。最終的にはこのうちのどちらの女性が一番のリーダーかというのが、よそから来た私のような者にも見てとれる。
このリーダーは、そこまでやらなくてもと側で思えることでもやり続ける。食料品をうけとりに集まる人たちの中の大家族の人を覚えていて、その人たちには多めに食料品がいくように、たりなくなった時には、なんとしてでも最後の一人にちゃんと食料品が行きわたるようにがんばる。毎回おそく来る人のことを思い、食料品のふくろが終わりに行くに従って小さくなるのを知っていて、それを前のと取りかえたりしてできる限り公平にわたるようにと努める。
このリーダーの存在は大きい。最初に驚かされたのは、このリーダーの魅力にはキツイ冗談をとばせることにもあるということだ。ボランティアの男性の一人に「あんた、ちゃんとパンツ履いてきてね。おシリ見えてるヨ。こっちまでドキドキしちゃう」とか言ってのける。周りはそれ相当の返答で返す。おかげでボランテイアの時間はあちこちで爆笑の連続だ。
ここで、告白だが、人生のとおに半分以上住んでいるこの国で、これは「幸運にも」自分がキャッチできた冗談だが、わたしには冗談が一番わかりにくい。地元の人に言わせれば、英語のせいだけじゃない、ユーモアのセンスがちがうからだろうと言う。そうだろうかなと思うこともたまにある。
いつか、コメディショーに行こうと誘われたが、その前に行った時皆が爆笑している中で、一人「今のどうしておかしいの?」と首をかしげてる自分にアイソをつかして、もうそれから行かないことにした。あそこで、ガンバってめげずに行き続けていたなら、今ごろはコメディショーでも何でも、思うぞんぶん笑える人になっていたかもしれない。
何事も練習。おくればせながら、反省中。
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教会について
この歴史ある教会は、1803年につくられた。その10年ほど前1790年代に圧倒的に白人の多かったメソジスト・エピスコパル派の教会で、白人の教会員が礼拝中すわる席を黒人と白人を別々にしようとした際に、黒人たちが抗議し教会を出て、この新しい教派、アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会をつくった。
1830年代には、まだ奴隷制度下にあった南部から、すでに廃止されていた北部やカナダに逃亡する奴隷を助けるアンダーグラウンド・レイルロードのネットワークに重要な役割をはたした。今日では、フィラデルフィアのアフリカン・メソジスト・エピスコパル教会のうちでも最大数の信者をもつ一つだ。
1983年に時代に先がけて女性の牧師を選んだ教会。
つか子と「あの人」 (創作大賞2024恋愛小説部門応募作品) お読みくだされば、とても嬉しく思います。ありがとうございます。
エピローグ: つか子と「あの人」 (つか子と「あの人」 の続きです。)
新作品: 『みじか〜い出会い・三つの思い出』 『夫の質問:タンスの底』 『外せないお面』 『来世の[ない]クエーカーのはなし』
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