春霞のむこうには
春霞・2年ぶりの日本。
アメリカに戻る日のこと、母が居間に来て、突然『タクシーで羽田空港まで行きなさい。』と言いだしました。飛行機は夕方の便なので、大きな荷物は空港にすでに送ったし、電車の時間もチェック済み、お昼でもゆっくり食べて、、と思ったら。。母はどうやら人混みの電車でコロナに感染でもしたら、飛行機に乗れなくなってしまうと思ったらしい。確かに出国前にコロナテストを受けるので、前日も緊張してストレス熱が出てしまいました。言いだしたら止まらない母に押されて、電話の受話器をとり、タクシーを呼ぶことにしました。
タクシー到着の予定時間より10分遅れるとの丁寧な電話が入り、母と私は感心していたら、結局3分しか遅れず、それでも、丁重に頭を下げて遅れを詫び、ドアを開け閉め(コロナ感染予防のため、手袋をした運転手が開閉を行います)、完璧に除菌清掃された車内、空気清浄度モニターを装備した高効率空気清浄機、と「ニューノーマルタクシー」のファーストクラスな陸の旅を小一時間、堪能いたしました。
日本人のマスク着用は室内+屋外ほぼ100%(人口の少ない地域は未着用もあると思いますが)。もともと日本人は風邪を引いたらマスク、花粉などアレルギー反応から身を守るためにマスク、マスクは生活の一部でありコロナ禍以前から日常的に着用していました。清潔を求める頻度も高く、外を不潔な場と考え、家内を清潔と分けて考えています。家に帰ったら靴を脱ぐのも、ばい菌を室内に持ち上がらないという考えを持っています。小学校からの衛生管理教育(きれいにする信念)も身についているので、コロナ感染拡大防止策も馴染むのでしょう。
桜の季節は晴れの日でも霞がかった空が多いです。花粉も黄砂(東アジア内陸部の砂漠の砂塵)も飛んできて、空気中にもやもやと浮いています。春の塵予防でマスク着用する人も多く、私も久しぶりに感じるこの春霞、思い出して、こっそりマスクを外して日本の空気を吸ってみました。日本の春だ〜。これから夏にかけての蒸し暑い時期はマスク着用は厳しいけれど、日本はマスク着用が続くんだろうなあ(アメリカは?)。夏仕様の接触冷感・キシリトール加工・抗菌・防臭・速乾マスクなどの「ニューノーマルマスク」で乗り越えてゆくのでしょう。がんばれ、みんな(私は?)
さて、またアメリカに戻る日。タクシーが遅れると思ったので、のんびりとお茶を飲んでいた私、慌てて、お茶碗も片付けずに、荷物を持って、靴を履きながら、母に『行ってきまーす』と言い、母『行ってきます?』、乗り込んだタクシーの中からもう一度、『行ってきまーす』。母は玄関口に立って、微笑みながらずーっと手を振ってくれました。そう、昔、祖母もそんな風に玄関口で私が見えなくなるまで、手を振ってくれたなあ。春の霞にふと母と祖母との姿が重なりました。
今月のスカーフは
春霞のむこうには富士山
神奈川県逗子海岸でよく晴れた春のある日、春霞からほんのかすかに見える富士山と森戸神社から流れてきた桜の花びらが海面にチラチラと光り、とても神秘的で美しいと思いました。
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