毎日超短話38「放課後の日課」
放課後のわたしの日課は、焼却炉のそばにやってくる猫に餌をやることだ。
その日はその日課に先客がいた。
名札の色が違うから、先輩だと思う。
この子、あなたの猫?
別にわたしのってわけじゃ……
そうなんだね。この子に、これ着けていい?
先輩はおもむろに小さなスカーフを取り出した。
え、ああ、はい。
これ、彼氏からもらったの。別れたけど。本当は燃やそうと思ってたんだけど、踏ん切りがつかなくて。
独り言のようにそう言って、先輩は猫にスカーフを着けた。
「かわいい!」という声がふたり揃った。
猫は、にゃあと甘えた声を出した。
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