毎日超短話698「線香花火」

これが落ちたらさよならね。

線香花火を手にした浴衣の君が、そう言った。ぼくは小さく、うん、と頷いた。線香花火が落ちるのを、ずっと見ていたけれど、30分経っても落ちない。

長くない？

どちらからともなくそう言った日から、一年経つ。線香花火はまだ消えない。水をかければ消えたと思うけど、そうしなかったから、まだ別れていない。

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