毎日超短話688「幻の丘」

恋をしてからできた小高い丘があった。失恋した日、ブルドーザーがやってきて、その丘を平地にした。見晴らしがよかったその丘が今はない。恋をする前と同じになっただけなのに、まだ幻の丘を見ている。美しさだけが残るそれを、今はしっかり焼き付けておこう。もうこれほどまでに泣くことはないのだから。

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