毎日超短話407「忍者ラブレター」#毎週ショートショートnote
卒業式の次の日に手紙が届いた。クラスメイトの服部くんからだ。まったく寝耳に水といった感じで、なんだろうと思いながら封を開ける。読んでみると、それはどうやらラブレターのようだと気が付く。
が、しかし、出だしがまずおかしい。「お主の気持ちには応えられぬ」である。いやいや、わたし、あなたへの気持ちは特にないんだけど、と心でツッコむ。
《お主が3歳の時候、拙者に大きくなったら結婚しようと言われたが、それは無理というもの。かたじけない》
たしかに、彼とは幼なじみなので、そういうことも言ったような気がするけれど。わたしには一応、彼氏もいるし、断られる筋合いもない。
《なんせ拙者、卒業したら忍者になって巻物を取りに行くのが夢なのでごさる。忍び故、彼氏のいるそなたに迷惑はかけられぬ。だがもし、そなたの彼氏がなにか不穏な動きをしたときは、拙者をお使い申されよ。拙者はいつでもそなたの味方である。》
少し心がざわついたのは、内緒でござる。
アルコ&ピースの「忍者になって巻物を取りに行く」の漫才が頭から離れなかった結果です。
一年前の超短話↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?