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『職場がうまくいかないときの心理学100』座談会③
本記事は、2024年に開催した著者による座談会の文字起こしです。
前回:座談会② (初回:座談会①)
執筆で心がけたこと
――執筆時の思い出なども伺えればと思います。
渡辺 私は1つのトピックの分量が多くなってしまって、編集部からスリム化を何度も頼まれたのが印象に残っています(笑)。本ですから文字数が決まってるというなかで、わかりやすく、皆さんにご興味を持っていただけるようなことを伝えるということが大事です。けれども研究者としては、学術的なエビデンス、あるいはここまでは言えるけれどこれ以上簡略にしちゃうと、言い過ぎだとか足りないということが,先に立ってしまうんですよね。それで引用文献についても、「ここまでは明らかになってて、でもここからはハッキリしないよ」みたいなところを書いてしまうと、ちょっとテーマとしては簡潔ではなくなってしまうのが一番苦労した,難しく感じたところです。
想定読者が心理学の専門家ではない方だったので、そういう方に伝えるためにはポイントを絞ってわかりやすい言葉を使って、あんまり専門的な用語も避けるといいと編集部からもアドバイスいただきまして、だいぶ削りました。
もともと私自身が思考が拡散的であまりまとまっていないものですから,文章が冗長になってしまうという自分の欠点を改めるのに勉強になったと思いました。
安藤 私は逆に分量を増やすように言われましたね。
参加させていただいた当初、既に、文字数とか見開きのイメージが比較的明確に決まっておりましたので、伊東先生からフォーマットをいただいて、そこに入る文字数は大体このくらいまでだろうという見込みで書いていきました。また、文字のページに対して、図表のページがあったわけですが、そこにはそれぞれ2つずつ図表やイラストをいれようということに自分で決めて、毎月書き進めていったところ、実際にゲラになってみたときにそれらの図表が自分が思ったよりも小さくて、図表と図表の間に妙な空白ができってしまって。
それで校正段階で、ちょっと加筆してくださいというご要望がきたわけですが、その箇所がかなりの項目にのぼりまして、期限もそれほど長くなかったので、急に加筆しなければいけないことに焦りました。ただ、執筆の段階で、私の場合、前述したフォーマットの関係で書きたいことをかなり削っていたので、それならば、言葉足らずだったことや追加の説明をしようと。
その意味では、最初に分量をしぼっていた分、最終的には、思ったよりも言いたいことが言えたなというありがたい機会ではありました。
「心理学」の枠を超える
――先ほどお話があったように、本書は心理の専門家以外にこそ読んでほしい1冊ですね。
安藤 たとえばですが、私の専門の組織論・経営の棚に置いていただくこともできそうです。特に、どういった方が手に取るのかなって考えたときに、初めてその管理職を目指すような方、初めて部下を持った方、あるいは、新人さんを職場に迎えられた方がすごく困られると思います。そのような時に「困ったな」と途方に暮れてしまうだけではなくて、「ああ、こんな本が役に立ちそうだ」と具体的なヒントが得られる本として受け止めていただければ、著者としては大変ありがたいなと思っております。
芦高 私が書店に行ったときは、「経営」のコーナーに並べられていました。ほかには工学の方にも見ていただきたいとは思いますけども、並べるとなると、「問題解決」とかのほうがいいでしょうか。
伊東 最近、『Newton』の別冊は心理学の話題を繰り返し取り上げています。目を引く表紙で、「心理の取扱説明書」とか「バイアスの心理学」とか、心理学の話題が多いんですよ。そういう雑誌が置いてあるようなところって、科学的内容のものを分かり易くまとめた書籍が平積みにされていますので、その辺に置いていただけければいいかなとも思いました。
(④に続く)