#297 才能なんて感じないけど、もがき進むのってカッコ良いしドラマだ。 「羊と鋼の森」
才能ないって突きつけられるのは怖い。
修行期間を終えてやっとスタートラインに立てた時に見えてくる、自分の進みの遅さ。目標までの遠さ。
それでも自分が決めた道をもがきながら進んでいくこと。
その道は険しい。
羊と鋼の森。という本を読んでいる。
ピアノの音を調整する、調律師という職業に進んだ主人公の話だ。
調律師って聞くとセンスや経験値がある人が就く仕事のような感じだが、主人公は痛々しいくらいの凡人だ。
凡人だからこそもがくし悩む。颯爽と仕事で成果を上げることなんてできないし、日常も地味だ。
だからこそ、自分も含めて世の中の凡人に響くのだろう。
ホームランではなくコツコツとやる
主人公が調律の仕事と出会ったのは高校時代
たまたま高校のピアノを調律している板取に出会ったからだ。
調律の美しさに魅了され、弟子にしてくださいと頼み込む。
そこから高校卒業後2年間専門の学校に通い、板取と同じ楽器屋に勤め始めた。そんな彼が直面したのは自分の圧倒的な実力不足。調律の仕事は経験値とセンスが大事だ。
板取の仕事を見るたびに感じる実力の歴然とした差。どうやったらその境地にまで至れるのか、自分はそんな風に調律ができるのか。目の前に困っている人がいるのに何もできない。何かをやろうとすると空回りし失敗をしてしまう。
そんな彼に板取はこういう「ホームラン狙いではなくて、コツコツとアベレージヒットですよ」
一発逆転的な秘訣があるわけではない。こうすればうまくいくなんてショートカットがあるわけでもない。大事なのはただコツコツと毎日積み上げること。
言葉では分かっても心が追いつかない。コツコツとやった先に自分は本当に板取の境地まで至れるのか。迷い不安が湧き上がってくる。
それでも続ける
それでも主人公は諦めず続けるという選択をとる。
それはきっと怖いことだ。
自分も今の仕事をしていて、怖いと思うことがある。お願いされたお仕事を自分が本当にやり切れるのだろうか。自分がお受けして良いのだろうか。
お受けした結果うまくできなかったら…
そんな風に思うと身動きが取れなくて、勇気が出なくて。
誰にその状況を聞いたって、明確な答えがあるわけではない。
お受けするも断るも、全て自分次第であるからだ。
最近一つ大きい案件を受けると承諾をした。迷ったがある一つの言葉を聞いてやろうと決めた。
それはメンターの方に言われた「もっと失敗した方が良いですよ」という言葉。
結局答えなんてないのだ。ただ今は自分も失敗をした方が良いと思ったし、飛び込んでみた方が良いと、自分で選んで自分がそうしたいと思った。
そうしないと前に進めないから。もがきながらでもうまくいかなくても良いから、やると決めたのだ。
まぁ自分も凡人だ。どうせ最初からうまくいかないから、とりあえずやろう。