変形した親指
本日の現場からは、
【変形した親指】と題してお話します。
私は鍼灸師としてこれまで、延べ3万人以上の体を触ってきました。
その間に培ってきた手の感覚には自信がありますし、それが私の生命線の一つでもあります。
そんな私の親指は変形しています。
最初に人の体に触る基礎を叩き込んで頂いた病院には本当に感謝しています。
当時の先輩先生から、マッサージは軽擦で9割決まると言われました。
<軽擦法>マッサージのキホンのキの技術
手のひらや親指、四指などを対象部位に密着させ、軽く擦る技術。
手の刺激や摩擦により皮膚の温度を上げ、血行を促進し、新陳代謝が向上する。
確かに、その方のマッサージを受けると、軽擦の時点で体がぞわっとして、その後は安心して体を預けるだけ。といった感じでした。
それからは、ひたすらベッドにタオルを敷いて軽擦を繰り返す日々。
素人の私には、もちろん人の体なんて触らせてもらえません。
大学の授業中は、机の下で自分の太ももの揉捏を繰り返し、実習中はベッドの端を肩に見立ててひたすら揉捏を繰り返したり…
<揉捏法>マッサージのキホンのホの技術
手のひらや親指、四指などを使い、対象部位の筋肉などを掴むようにして、もみほぐす技術。
筋肉に刺激を与え、血流の改善や、筋肉自体やその他の軟部組織のトーンを低下させる。
そんな日々を過ごし、ようやく患者さんの体を触ることが出来るようになりました。
それからは、ひたすら朝から晩まで人の体を触り続けました。
最初は手首がはれ上がり、日常生活でも支障をきたすほどになりました。
手首の痛みが落ち着くと、次は親指が悲鳴をあげ、シャンプーのプッシュすら出来なくなる始末…
先輩からは、だれもが通る道だと励まされました。
そんな日々が数か月続きました。
体重のかけ方や親指の使い方などマッサージの技術が向上するにつれて痛みが引いていくようになり、ようやく日常生活でも痛みが消えました。(慣れただけなのか?)
そんな私も専門家として、人の体に触れ早16年が経ちます。
気づくと右の親指は変形していました。
≪キングコング西野亮廣さんは、技術を売り物にするプロは体の一部が変形する程の努力は当然の努力だと仰っています。西野さんも絵本作家として一日に数十時間ペンを握り創作活動に没頭しているため、ペンを握る指が変形しているとのことです》
数年前から親指が変形し始め、ようやくスタートラインに立とうとしています。
もちろん、指を変形させる為に人の体を触っているわけではありません。
目の前の患者さんや選手を悩ます痛みや不具合を少しでも改善する手助けが出来ないかと思い、目の前の体、そしてその人を思って、ただただ親指を使ってきました。
その小さな小さな一歩が、指を変形させる程のものとなりました。
指を変形させることが目的でもないし、
神の手になんて程遠いし、いつまで経っても納得できるゴールには辿り着けないのはわかっているものの、
それゆえ、前に進む為には、小さくても一歩ずつ努力するしかないなぁと思っています。
本日は、取り留めのない内容でしたが、
兎角、技術職である以上は、たとえ小さな一歩でも日々精進して、前に進まないといけないなと、当たり前の事を改めて思いました。
というわけで、
【変形した親指】と題して、お話させて頂きました。
本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
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それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください。
以上、現場の竹田祐平からでした。