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ちいさな、ちいさな、みじかいお話。

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長編小説『because』 77

長編小説『because』 77

どういった意味の答えなのか分からない私はその言葉に喜んでいいのか、悲しんでいいのか分からずただ呆然と立ち尽くしたまま、もうすぐ沈んでしまう夕日を眺めていた。

彼に「どういう意味?」と、ただそれだけ聞けばよかったのに、その時の私もやっぱりそんな事できなくて、彼の背中はその時から、そういった雰囲気を私に与え続けていた。

夕日が段々と霞んでいき、いつの間にか私の目からは涙が溢れ始めて、どうして私は泣

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長編小説『because』 76

長編小説『because』 76

 そこには確実に一つの節目があって、そこにラインを引いて、そのラインより現在、それが彼と私が恋人同士であるという証になっている。

「好き」

彼と何度会った時の事だっただろう。私は彼の背中目掛けてその言葉を吐いていた。気付いたら吐き、その後すぐに少し後悔し、そしてまたすぐにその後悔を拭い去ったのだった。彼は振り向いて私の目を見ていたけど、何も言わなかった。ずっと私の目を捉え、その止まってしまった

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長編小説『becase』 15

長編小説『becase』 15

「でも……やっぱり分からないです」
やっと口を開けた美知の声はやはり、とても小さなものだった。
「美知ちゃんにも、好きな人ができたら分かるよ」
こういう言い方はあまり好きじゃないけど、それ以外に言葉が思い付かなかった。私は少し、この子の奇麗な横顔に嫉妬しているのかもしれない。
「……どうにかなりませんか?」
「どうにか?」
「どうにか、仕事を辞めないで済む方法……」
美知の目がまた私に向けられる。

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長編小説『becase』 14

長編小説『becase』 14

「でも、どうしてですか?」
「……なにが?」
「それで、なんで仕事を辞めるんですか?」
私は美知を見つめた。なんて奇麗な肌をしているのだろう。こんなにこの子を近くで見た事があっただろうか。目元に控えめに存在するそのほくろは、男を落とすのにもってこいなのに。
「美知ちゃんは、彼氏いる?」
無言のまま首を横に振った。一往複もしないくらい、控えめな振り方だった。
「私は、その人の事が大好きだったのね」

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