スマホは文具、自ら学ぶ生徒が育つ世界史の授業とは
プロジェクションマッピングや、地元の起業家を巻き込んでプロジェクト型学習を推進している吉川さん。今回は普通の世界史の授業がどのように運営されているのか見てきました。テンポよく進めながらも全員が関わっている心地よい空間が伝わるといいな。
0)授業直前:わらわらと集まる生徒たち
チャイムがなるまでの10分間、次々と生徒が集まってきました。あちこちで笑い声がします。着席と同時に、どうやら3人から4人のグループに別れて座るようです。スマホ片手に、自由な雰囲気ですが自分のSNSのチェックをするでもなく、周りとのコミュニケーションを楽しんでいる様子。
1) 前の授業の復習:グループ x 教科書・プリント
復習の時間、全ての生徒が立ち上がり、グループで前回までの配布物を見ながら理解を言葉でアウトプットします。
吉川さんの授業では資料は基本的にプリントでの配布のようです。紙媒体とオンラインの融合のバランスがナイスです。
2)小テスト:個人 x Google Forms
Google Classroomで小テストを配布し、シンプルなテストを行います。これもスマホで、生徒たちはリラックスモード。人と競うテストではなく、あくまで自分のため。
追記:なんと、生徒が順番に制作しているとのこと。まさに、学びがジブンゴト化していますね!
3)動画予告編:グループ x iMovie, キネマスターなど
1年間の集大成を動画でアウトプットするとのこと、今日はその予告編である1分動画の日。グループが簡単に説明してみんなで視聴しました。アプリのキネマスターを使っているグループが多かったです。そのせいか、吉川さんのツイッターでキネマスターから連絡が入ったとか!ちなみにこの動画は何かのコンテストに出すそうで、楽しみです。
4)資料読み込み:グループ x Google Glass x Document x Class Room
イギリスの教科書をグーグルグラスで日本語にしながら読みつつ、グーグルドキュメントに全員でまとめていきます。煩雑になりそうなのですが「それが一番早い」とのこと。だいたいの理解に止めるところもポイント。完全訳などしません。
5)日英教科書比較:グループ x 教科書を音読
また立ち上がったと思ったら教科書の輪読。その過程で、先ほどのイギリスの教科書との描き方を比較対照します。それにしてもテキパキ動いている。自分が何をすればいいか、全員が理解している様子。
6)解説:一斉 x Google Slides x Youtube
必要に応じて吉川さんの解説が入ります。この日のテーマはヘンリー8世。「スケベなだけじゃない!」と言うのが耳に残ります。生徒も、その歴史背景を資料を読みながらよく理解している様子。
アプリ、MiyagiTouchを使って、プリントに書き込みながら進めます。驚いたことに、対して説明していないのに双方向で生徒がどんどん答えること。ちなみに、この日板書したのは、左上に見える教科書のページのみでした。
7)1分まとめ:グループ x 教科書・プリント
授業終了3分前。生徒たち、またおもむろに立ち上がって1人1分ずつ、授業をサマライズしました。こちらもプリントをみながら。もはやスマホはシャーペンと同じくらい文具です。ツールとしてスマホを駆使しながら理解を進め、深めていく様子が手に取るようにわかります。
さいごに
授業の形態として完全コントロールされていますが、生徒側は管理されている感がゼロと言うのが印象的でした。学びをコラボして楽しむことに長けており、将来も自ら自律的に学ぶのだろうと思います。こうして書き出すと膨大なことをしていますが、あくせくしている雰囲気もありません。それは、生徒がジブンゴトとして授業を捉え、授業者と一体となって作っているからでしょう。このワクワクをPayforwardしていただいたのは大きな収穫でした!