パチンコ的教育
貧困層は将来の投資とパチンコの区別がつかないことが多い。例えば、子供への教育というものはパチンコと似ている。発表会や大会などの演出がたくさんあって、いかにも大当たりしそうな雰囲気を醸し出すが、実際に成功するのは0.1%以下。大抵の場合、なけなしの金を搾り取られるだけで終わる。一方で、投資というのは「親への教育」にあたる。資格を取って一つ上の仕事に転職する、少し難しい本を読んで知識を身につける、大人の趣味サークルに参加して人間関係の幅を広げるなど、既に成長しきった親が更に努力して少しずつ上を目指すのが投資だ。地道で少しだけ不確実、それが投資というものだ。
国全体でも同じ理屈が当てはまる。子供への教育はパチンコであり、現に貧困層や中間層が支持している。低技能技術者が中技能技術者になれるよう教育したり、小企業経営者が中企業経営者になれるように教育したりと、「いま既にそこそこできている人を少し伸ばしてやり、ある程度着実に効果を出していく」のが投資だ。子供を試験で選抜して鍛え、そこから偉人が出るかもしれないというのはパチンコであり、国家がそんなパチンコ制度を支持しているから先進国は少子化で衰退している。
実際に必要なのは、成長してある程度路線の固まった大人への教育投資だ。例えば、「就業しながら子供を二人産んだら、国が給与と学費を貸し出すから大学に行け、卒業できたら返済も不要」といった制度である。働いていて、結婚して子供も産んだ、既に良い感じに生きている大人を後押しして、一つ上の成果を出してもらうことが真の投資だ。
パチンコを辞めて、真っ当な投資をして国を発展させるべきだ。パチンコとは、「当たり演出で脳汁が出るし、当たった一人だけを見れば勝てそうに見えるが、全体で見ると絶対に確実にボロ負け」という意味だ。教育投資も、成功した者だけを見ると世紀の天才を獲得して凄い効果があるように見えるが、全体で見ると依然としてボロ負けだから、先進国は少子化で衰退している。
この問題に対処するためには、パチンコのような不確実な賭けをやめ、既にある程度成功している大人に対して確実な投資を行うべきだ。そうすることで、国全体が発展し、少子化や衰退の問題にも対処できる。