#5「数字や立場に左右されない居場所を求めて」週刊連載「メタバースとコミュニティ」
週刊連載「メタバースとコミュニティ」
と題しまして書き進めているシリーズです!
これまでの記事は以下のマガジンから読むことができます。
第二章メタバースコミュニティを立ち上げるということ
数字や立場に左右されない居場所を求めて
メタバースに来て何者でなくても受け入れてもらえる体験をし住むに至ったことで自分自身メタバースの可能性を強く感じました。
「VTuberだからこうしないといけない」といった思い込みから解放され、
1人のメタバース市民として生きるというありかたは、産まれた時から
何者かになることを背負いがちなVTuberにとって新しい選択肢になりえると感じ、特化Vのための活動場所を作ろうと思いました。
特化Vとは、なにかしらのテーマやジャンルに特化した発信をしている
VTuber,バーチャルな人の事です。
私は2022年3月から特化Vの居場所作りを目指してツイッタースペースや
YouTubeを活用しながら特化Vの会というコミュニティを運営していました。
また、この2023年3月ごろは徐々にclusterイベントが増えてきた時期でした。
その中でも特化Vであれば、伝えたいテーマがはっきりしているので
活動歴やチャンネル登録者数関係なく、盛隆するclusterのイベント欄の中でも埋もれずに新しい認知を獲得するチャンスがあると感じていたので、一刻も早くメタバースに参加して活躍してほしいという想いがありました。
ここでも、与えられるためには、まず与えようを実践することにしました。
cluster特化V酒場OPEN(2023年3月)
特化Vがメタバースで気軽に活動できるよう、ワールドを制作しました。
メタバースでのワールド制作と聞くとなんだかすごく難しそうですが
clusterにはワールドクラフトという機能があり、全て日本語で直感的に操作して世界を作ることができます。
ここでは、クリエイターズマンション企画のなかで自分がしてもらって嬉しかったことをやるように心がけました。
主に意識したのは
・メタバースで直接話す
・意見や要望を積極的にもらい、すぐに実行する
・誰でも自由に使えるようにする
という点です。
夜な夜なこのワールドに集まり、営業をしながらちょうどいい席の間隔や間取りを話し合いました。
まだ手探りのこの世界で、一緒に一つのワールドを作り上げていくというのはとても楽しい体験でした。
さらに嬉しかったのは、そうやって作ったワールドを実際にイベントや交流の場として利用してもらえたことです。
今までは、自分がイベント主催者としてワールドを借りる側で
「こんなすげぇワールドをタダで利用させてもらってホントすんません」
という気持ちがあったのですが、こうして小屋主としての経験をすることで
「使うことも、与える行為の一つなのか!」と理解することができました。
イベントだって、ワールドだって参加してくれる人、活用してくれる人が居ないと成り立たないのです。
イベントを作る人は「参加してほしい」という願いがあるし
ワールドを作る人には「訪れて欲しい」という願いがあるのです。
その願いを叶えることも、立派な「与える」行為のひとつなのだとわかりました。
与えられるためには、まず与えようと呪文のように唱えてきましたが
与えられたものを気持ちよく受け取ることも関係性が始まるきっかけになるのかもしれません。
というか、実際になっていきました。
ここで特化V酒場を活用してくれた仲間達の名前は今後由宇霧メタバース活動のあらゆるところで見る事になっていくのです・・・!
しかしイベント主催&出演のハードルは相変わらず高い。
技術を伸ばす機会をもっと日常的にするには・・・?
VTuber活動をしていると、「伸びない」という言葉をよく聞きます。
これはチャンネル登録者数やフォロワー数の増加を表す言葉です。
ですが私は思うのです。
数字の前に実力を伸ばせと。
実力を伸ばすには、人の目に触れる経験や人とかけあいをする経験が必要です。
でも、たしかに2023年時点でのVTuberは人口が多く初配信で同時接続者数ゼロというのも珍しくはない状況で、コラボをするにもそれなりの活動歴や登録者数、人脈がないと厳しくなっていました。
数字の前に実力を伸ばせなんて偉そうな事を言いましたが、これは常に自分にもかけている言葉でした。
自分も初めてテレビの生放送に呼ばれた時、緊迫した大人数のスタジオで上手く立ち回れずに悔しい経験をしたことがありました。
その時は「練習してこなかったのだから出来なくて当然だ。最初から上手くいくことなんてほとんどないさ」と自分を慰めました。
でも、個人VTuberにそんな機会が頻繁にあるわけはなく練習する場がないのが課題でした。
さて、こんな時すでに完成しているリアル世界のタレントさんたちはどうしているのか、そこからヒントを得ようと思いました。
私は元々夜の街で働いていたので、役者やお笑い芸人を目指している方と仲良くなる機会が多々ありました。
(まだ食えない時期のアルバイトとしてよく働きにきているのです)
実力を伸ばすためにはいくつかやり方があります。
1、エントリー制のライブで場数を踏む
2、事務所がもっている番組枠に出演して場数を踏む
3、レッスンに通う
などです。
レッスンに通うのは良い事もありますが、芸能仕事がなくて暇だから講師をやっているという人の授業を受けさせられてしまう事もあります。
個人的には実践が一番良いと思っているタイプだったので
1,2に共通する「場数を踏む」という点に注目しました。
場数を踏むときに共通するのは「次がある」という点でした。
1のエントリー制ライブというのは、チケットノルマといわれるものが課せられることが多く、売れなければ赤字になることもありますが財力と気力が続く限りは出演し、場数を踏むことができます。
また、お笑いでよくあるバトルライブという形式では当日の投票数によって、上級のライブに出演することができるようになるため積極的にネタをブラッシュアップすることになり芸が磨かれていきます。
ブラッシュアップするためには、一日に複数のライブに出るなどして同じネタを繰り返し披露したり、良くなかったところを微調整しています。
2の事務所がもっている番組枠は結果を出さないと出番を減らされてしまうという競争はありますが、それでもノラで番組に出るよりはまだ次があります。
このなかでも特に1のエントリー制ライブはお笑いだけでなく歌手やダンサーなどのジャンルでも毎日色んなところで開催されており、
多くの人が夢に向かって切磋琢磨をしています。
これらのライブは定期的に、頻繁に行えるようにある程度流れがパッケージ化されていることが多いです。
それはメタバースでも再現できるのではないかと考えました。
実際、このようなエントリー制のライブなどは日中サラリーマンや自営業をしている人がライフワークとしてやっている場合も多く
パケージ化をして、誰でも流用&アレンジできるように開放すれば
イベント主催のハードルが下がりメタバースの世界でも毎晩のように芸を磨く場所が確保できるなとひらめきました。
しかも、現状メタバースなら場所代がかからないからチケットノルマも発生しない。
(リアルの劇場は利用料がかかるため、企画継続のためにチケットノルマはやむなしなのです・・・一部のアレな企画を除いては・・・)
これはいい!私も練習する場所が欲しい!
「そんなわけで、タレント力を磨く場所を作るためにこういうことをやりたいんだよね」と特化V酒場で話した所、
「それはおもしろそう!」とのってくれた人達がいました。
次回はこのメンバーと立ち上げたメタバースイベントコミュニティについて書いていこうと思います。
筆者 由宇霧(ゆうぎり)プロフィール
世界で初めて性教育の本を出版した特化型VTuber♨️
メタバースで居場所作りの探求中。
雑誌連載中「出張版 #特化Vの会 」(VTuberスタイル)
メタバースイベントコミュニティ CLUSTARS運営
Virtual ASOVIVA TV -ビバテレ-プロデューサー
取材や講演会のご依頼は yugiri.staff@gmail.comまでご連絡ください。