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弓削保
2016年2月12日 14:48
数日前から降りはじめた冷たい雨が視界を煙らせる中、好んで外に出る人間は殆どいない。 彼は足早に路地を通り過ぎていく足音はいくつか聞いた。音を立てて水溜りを過ぎていく車の音も何台も聞いた。しかしここには誰も立ち寄らない。 どれ程の時間ここにこうしているのか、どこから来たのか、彼は覚えていない。昨日からだったような気もするが、今朝からだったような気もする。もっと前かも知れない。ここにきてから何度