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指先に触れるもの

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2010年頃書き上げたもの。一部、残酷表現含みます。苦手な方はご注意を。
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#男主人公

指先に触れるもの 1

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 遥かに続く鮮やかなコバルトブルーの海原を眼下に眺め、北里泰之は夕刻の気配を肌の上に触れさせる。弧を描く水平線に見える薄い影は漁船だろうか、穏やかな波間に静かに浮いている。
 彼が今いるのは、サイパン島北部に位置するマッピ岬に作られた平和記念公園だ。断崖ぎりぎりに設けられた柵へと体を預け、途切れなく耳に届く潮騒を聞くともなしに聞く。
 彼の背後には、第二次大戦中に自決した旧日本軍兵

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