貴族・軍人と平民の違い
皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回は「貴族・軍人」と「平民」の違いについてお話ししようと思います。
話を進める前に2つ注意点があります。
この記事で出て来る「貴族」とは、映画や漫画で出て来るような民から税金を搾り取って自分だけ遊んで暮らすような輩を指すわけではありません。
君主や領主、国の施策を決める高級官吏を指しています。
皆さまの世界で言えば、政治家もこれに含めて良いかもしれません。
もう一つは、この話では「貴族・軍人」と「平民」の役割の違いについてお話しするのが目的です。
貴族が偉くて平民が賤しいとか、そう言う身分的な話ではありませんのでご注意下さい。
■平民とは
私が言う平民とは、皆さまが持つ辞書の解釈とは少し違います。
平民と言うのは「平時を営む民」のことです。
もう少し分かりやすい表現をするなら、日々働き生産活動に参加することでいつも通りの日常を維持する人々とも言えるでしょう。
例えば、今日食べるためのパンを焼くパン屋や、工場で商品を生産する作業員がこれに当たります。
また、農家や大工のような仕事をしている人達もそうです。
確かに農家の収穫や大工が作る家が完成するのは半年も先ですので、「これは日々ではないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、その為に日々生産活動に従事していることを考えれば、平時を営む民と解して良いでしょう。
あと直接生産活動に参加するわけではありませんが、生産活動に従事する人々の日常を助ける職業、例えば医療を担う人々や地方の役人はこの平時を営む民として平民の範囲に含めても良いと考えます。
平民は日々働いて成果を出さなければ生活が成り立ちません。
またお互いに日々の成果を出し合わなければ、この世界に日常と言うものは成立しません。
ですので平民は、物事を考える時は今日明日に焦点を絞って考えなければいけません。
平時を維持する役目を負っているのが平民と言うものです。
■貴族とは
ここで言う貴族とは先に述べた通り、君主や領主のような立場の人を指しています。
また彼らを直接補佐する高級官吏、皆さまで言えば大臣や政治家や中央の役人がこれに近いのではないかと思います。
貴族は平民と違い、社会の生産活動には直接参加せず、日々働いて成果を出すことが目的ではない人達です。
そうは言っても決して楽をして暮らしているわけではなく、数年がかりの事業を計画して実行したり、諸外国との外交を行ったりと今日ではなく将来のために働きます。
今日すぐに必要ではなくても、社会の変化に目を配り時代にあった法律を作ったり、いつか起こる凶作の為に食料を備蓄したり、将来の利便性を考えてインフラを整備したりします。
結果が出るのは数年も先になり、今やりたいと思うことがあってもグッと堪える必要があります。
そうやって日々の成果を捨てて、未来の大きな成果を目指すのです。
ですので、時は今日明日を生きている平民と意見が食い違うこともあるでしょう。
それでもやるべき事をやらなければいけないのが貴族です。
当然物事を考える視点は遠い未来に起き、時には大を生かすために小を犠牲にする決断をすることもあります。
貴族とは大きな視点で物事を見て、また長い時間で物事を考えて、自分ではなく国や集団の将来のために働くのが役目です。
■軍人について
軍人については多くを語る必要はないと思います。
軍人は社会の生産活動にはなんら寄与せず、しかも出来れば働かない方がいい存在です。
軍人が働くと言うことは戦時、つまり戦争中ということです。
ですので、軍人は少なくとも平民ではありません。
それでは貴族かと言うと、そちらにも属しません。
貴族はその働きの結果が出るのは将来ではありますが、いずれ結果を出すのが役目です。
確かに軍人も常に訓練を行い、様々な計画を立てて将来に備えますので、そう言う意味では貴族に近い部分があります。
しかしその結果が出るのは敵が侵略してきた時とか、敵国に侵攻する必要が生じた時となりますので、喜ばしい事態でないことは明白です。
軍人とは、貴族のように大きな視点で少し先の未来に焦点を置いて物事を考えるが、その結果は出ない方が良いと言う不思議な存在になります。
だからと言って存在しなくてもいいかと言うと、そんなことはありません。
万が一軍人が存在せず、国家に軍が存在しなければ、他国に滅ぼされてしまうことでしょう。
では軍人の役目は何か?
それは貴族と平民のための保険になることです。
皆さまの世にも万が一の不幸に備える保険があります。
それと同じように無い方が良いが無いと困り、万が一の時には必ず助けてくれる存在として両者のために働く。
これこそが軍人に求められる役目なのです。
■役割の違いとそこから生じる差
平民の役目は平時を営むことですので、日々働きながら生活を維持し、毎日無事に明日を迎えることが何よりも大切です。
一方で今日を生きることに焦点が絞られ、短期的な視点でばかり物事を考えるようになります。
逆に貴族は将来のために働きますので、長期的な視点で物事を考えます。
軍人もどちらかと言えば長期的な視点で物事を考えます。こうなると貴族・軍人と平民では物事の考え方に差異が生じ、意見の食い違いが生じるようになります。
この場合どうしたら良いのか?
今日生きることすら不可能な無理難題を押し付けられた場合以外は、平民は貴族や軍人が長期的な視点で考えた意見に従う方が良いでしょう。
自分が今日のことを考えるのに精一杯だからと言って、明日を捨てて良いわけではありません。
やはり明日も明後日も、それ以降も生きて行かねばならないのです。
また自分の子孫や国の未来のことを考えれば、最終的には長期的な視点で考えたものを採用したようが良い結果を得られる場合が殆どです。
それでも意見の食い違いと言うものは分裂を生む切っ掛けになりますので、貴族と軍人と平民の三者がよく話し合って進めなければいけません。
大切なのは、見ている視点や考えの焦点が違うのだから、意見が違うからと言って相手が自分のことを理解していないとか馬鹿にしてると思わないことです。
相手の立場を考え協力して物事を進めると言うことだけは、貴族でも軍人でも平民でも共通した認識として持っていなければなりません。
■まとめ
貴族・軍人と平民はものを見る視点と、考えの焦点が違います。
どちらが正しいとか間違っているとかではなく、それぞれの役割を考えればそうなるのは仕方がないことなのです。
その上で、将来のことに重点を置く貴族や軍人の意見は重要だと心得て、平民はそれに協力する必要があるのです。
数で言えば平民の方が多く、力に訴えれば平民の方が有利です。
だからこそ国民の大半を占める平民が力を貸すことで、いくらでも良い方向に物事を進められるのだと考えて頂ければ理解できるかと思います。
立場の違いや役割の違いと言うものを考えれば、お互いに敵ではなく協力すべき仲間だと理解出来ると思います。
また自分の役割を理解することで、より世のため人の為に役立つことができます。
今回のお話でそのことが伝われば幸いです。
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