ミィとのレリビーな日常 : 「凍った星をグラスに」
「凍った星をグラスに。」入れる。
今日の凍った星は、オレンジジュースで作ったから、オレンジ色だ。
アップルジュースにオレンジ色の氷。
ミィは、グラスに手を突っ込んで、オレンジ色の星を取り出した。
袖口はジュースで濡れている。
「コラ‼︎
そんなことしちゃダメでしょ!」
「だって、おほしさま、おれんじいろだよ。」
ビックリして声が大きくなったけど、そんな仕草が本当は可愛くて仕方ない。
叱られた事よりも、オレンジ色の星に夢中だ。
…まぁ、好きにさせておこう。
ミィを、あたしは産んでない。
産んだのは姉貴だ。
あたし達に子供はつくれない。
姉貴に3人目の女の子が生まれた時、
「この子はあなた達の子よ。」
と、前触れもなく姉貴は言ったんだ。
亮介さんと二人、驚いて顔を見合わせ、その後、
「いいの?」
と、姉貴に言った。
「いいよ。」
姉貴は当然だと言うふうだった。
姉貴はいつもそんな感じだ。
亮介さんと結婚する時もそうだった。
「法律的には事実婚かもしれないけど、それがどうしたの?
私達家族が認めているのに、他に、誰に認めさせたいわけ?
使える法律は利用すれば良いだけのこと。」
あたしは号泣した。
あたし達がしたい事は、世間的婚姻じゃなく、本当の夫婦になる事だから。
しかも姉貴は、子供まで授けてくれて、神としか言いようがない。
神から授けられたミィ。
オレンジ色の氷を手に乗せ、遊ぶ姿は天使だ。
「はは、おほしさまとけちゃったよ。」
「お星さま、どこで生まれるか知ってる?」
「え? どこ?」
「冷蔵庫。ジャーン。」
「やったー。れいぞうこはうちゅうだね。」
と言って、
ミィのウチにはうちゅうがあるの〜♪
と、歌い出した。
「ミィ。汚れたからブラウス交換しようか。」
「ん? だいじょうぶ。これおほしさまのしずくだから。」
ミィは全然気にしない。次にそのブラウスを着た時も、お星さまの雫と喜ぶだろう。
殆どの事はどうでも良い事だとミィは教えてくれる。
この前、猫を触ろうとして猫に引っ掻かれた時、
「ビックリさせてごめんね。」
と、猫を気遣っていた。
もう、ウルウルしてミィを抱きしめたら、私を見つめて小さな手で抱きしめ返した。それでまたウルウルしてしまう。
ミィは無条件であたしを抱きしめるから、あたしも無条件でミィを抱きしめる。
「あたしが母でいいのか?」
なんて、思う必要はない。
レリビーと、ミィは教えてくれる。
ミィはミィで、
亮介さんは亮介さんで、
あたしはあたしで、
それでいい。
そしてみんな家族。
ミィが来てから、
あたしは幸せな涙でいっぱい。