畑日誌 : 苺
今日も暖かい一日で、秋?初冬?なのに小さい虫たちが飛んでいて、雪虫もいた。
とうとう雪が近いらしい。
雪虫は天使みたいに無重力で頼りない。
…でも、触ると真っ黒になって死んだふりをする。
秋の透明感は多少あるけれど、どこか霞んでいて春の様だ。そう言えばこんな日を小春日和と言うのだろう。
家には二ヶ所の土手に苺の苗が育っている。育っていると言っていいのか、20年以上前から、植えっぱなしなのが枯れずにずっと地下系を伸ばし生きている。
もっと分かりやすく言えば、20年以上前に植えた苺が勝手に育っているってこと。
もう土手いっぱいに増えて、苺は一面に実をつけるけど、誰も収穫しない。
以前は私がジャムを作ったりしていたけど、手入れもしないのに勝手に実をつける苺はありがたみがないらしく、誰も見向きもしないのだ。
妹などは、雑草の中に赤い苺の実がなるのが気持ち悪いとさえ言う。
だけど、見向きもされないのに元気に育っている苺って、凄くない?
もはや野生化して雑草と化している。
だけど、片方の土手の苺を見たら、葉が赤くなって茶色の点々が出来ていたり、虫に食われていたりしていた。
誰も手入れもしない代わりに、完全自然栽培なのに、元気じゃないのは、自然栽培はやはりダメなのか?
そう思いながら苺を見ると、手入れされないから、枯れた葉や茎の上にさらなる葉や茎が重なり、新しい葉が古い葉に覆い隠されていた。
凄いことに、苺が重なる様に生えているから、雑草は殆どなかった。
やはり、人の手が少し入った方がいいんじゃない?
そう思って、わずかな雑草を抜き、枯れていた葉や茎を細かく砕き土に戻し、赤くなった葉を取り除くと、緑の葉が一面に出て来た。
土もふわふわで柔らかい。
抜いた雑草や赤くなった葉で草マルチにした。
果たしてそうする事が正しいのかは分からない。
だって、放置していただけで育てた事がないんだから。
緑一面になりスッキリしたのは私の自己満足だ。
これから来る寒さに耐えられるだろうか?赤くなった葉は寒さを防いでくれたかもしれない。
日光と寒さ、どちらが勝つだろうか?
今まで放置され自由に育っていたのに。
やってしまってから心配になる。
まぁ、答えは苺が教えてくれる。春になれば答えは分かる。
だけど、私は少し焦っていた気がする。
苺を出荷できるんじゃないか?そんな思いが優先した気がする。
苺の気持ちを考えていたかな?
焦ったって何にもいい事はない。
寒波が来そうになったら、草マルチを増やしてやろう…そう思う。
ずっと資本社会の波で暮らして、『もっともっと』の気持ちはなかなか抜けない様だ。
もう必要なものは十分あるじゃないか。