セクシービーム : 独り言
「おやすみなさい。」
そう言った途端
寝息を立てる。
それを見ていたらクスッと笑えた。
そう言う私も
「もうダメだ。」
と、ベットに走り込み、
ベットに潜り込んだ途端に夢の中へ落ちていく。
ギリギリまで頑張るけど、
眠気には勝てない。
人間て寝てしまうものらしい。
犬の耳の間からはセクシービームが出ている。
だから思わず耳の間の匂いを嗅ぐ。
日向のいい匂い。
それだけでは物足りず、
ギュッと抱きしめて、
また、
耳の間の匂いを嗅ぐ。
犬は耳の間だけど、
人はうなじ辺りからセクシービームが出ている。
それは透明なんだけど、
人それぞれ色が違って、
好きな色だと匂いを嗅いで確かめたくなる。
「ほらね。いい匂い。」
私は日向の匂いが好きらしい。
きっと、
多くの人は顔を見るだろう。
でも私は顔は見ない。
その顔をズルッと剥くと、
とても怖いものが隠れていたりする。
見たくないものは見ないに越したことはない。
うなじから出るセクシービームは嘘をつかない。
…つけない?
今朝の夢は
遠い記憶だろうと思った。
昭和初期頃のレトロな世界。
夢はいつも知らない世界に行くけれど、
遠い過去を見たのは初めてだ。
ずっと昔、
今と同じ仕事をしていたのだろう。
そこでも私は、解剖生理と物理的現象を組み合わせ、
「そんなことしたら体内に取り残されない?」
と、訝しがっていた。
それから、
「あなたのその大きな目が嫌い。」
と言われて、
「え?
だったらこんな顔ならいいですか?」
と言い、目を細めて変顔をした。
女の人は顔を崩して、
「その顔ならいい。」
と言った。
そんな私を見て、私の特性を感じたし、ずっと遠い過去から私はこんなだったんだなぁと、諦めと受容をした。
横になって眠るうなじから、
セクシービームが揺れている。
匂いを嗅いで確かめたいけど、
緩やかな寝息を邪魔したくはなかった。