レインコートでシャワーをあびる
Rappelle-toi, Barbara
(おぼえているかい、バルバラ)
フランス語テキストの命令形の単元にたった3語だけが紹介されていたプレヴェールの詩 Barbara
このフレーズだけで人口に膾炙してるってのはどれだけよい詩なのかと原文をあたった。
これまで感じたことがないほど圧倒されてしまいました。同じ街に違う雨が降る。
あまりに胸を打たれたので
ノートに書き写したほどです。
先日はじめて入ったセレクトブックショップでプレヴェール詩集(岩波文庫)に呼ばれたので買ってみた。
さっそくバルバラを読んだ。
「思い出せ バルバラ」
この強い調子が、原文の印象と少し違うと感じた。
映画「パターソン」にこんなセリフがあった。
"Poetry in translation is like taking a shower with a raincoat on."
「翻訳した詩ってレインコート着てシャワー浴びるみたい」
うまいこという。でも原文で読んでも言葉のバックグラウンドまで感じるのってのは相当の達人じゃないと無理。でも原文を読むと単語や文をひとつづつ丁寧にたどるので理解が深まる。
なんて思いつつ、文庫の解説をみると谷川俊太郎が彼なりの答えを書いてた。
「アテネフランスに二年間も通っていたくせに、僕はフランス語からきしできない。だから僕がいくプレヴェール、プレヴェールといったところで、それは日本語におきかえられたプレヴェールのことでなです。それじゃ困るという人もいるだろうし、翻訳じゃ絶対にわからない部分もあるかわりに、翻訳でさえ分かりすぎるほ分かる部分もあると思います。翻訳じゃ絶対に分からないところはフランス人にまかせておいて僕はもっぱら、翻訳でもわかる方を楽しむことにします。」
気が楽になった。
日本語訳はそれで楽しめばよい。
でも原文も知りたい。わからなくっても。
どっちにせよ、自分のこれまでの経験を通してしか感じることができないんだから。
以上