子どもの夜驚症と親側のメンタルケアについて
我が家の息子は、おそらく夜驚症。発熱のときはもちろん、就寝中の暑さや寒さといった体感温度によるストレスがきっかけで発症する。
息子の他に育児経験がないため、なるほどこどもはこんなものかなのかと思っていたこともあり、これまでとくになんとも思ってこなかったが、最近はどうやらこれが夜驚症というものらしいということが分かってきたため、そしてそれは成長するにしたがって次第に影を潜める類のものであるらしいことが分かってきたため、備忘のために記録する。
はじめに、夜驚症とは何かというと、就寝してから数時間後に突然起きて、怖い怖いと尋常じゃなく怯えた様子をみせるもの。そのとき心拍数は激上がりしていて、体温はやはり高くなっている。息子の場合は、汗をかいているときがほとんど。
それまですやすや眠っていたのにも関わらず、とにかく突然起き上がり、場合によっては歩いたり、全身で何かにおののく素振りをみせたりと尋常じゃなく怯えだすため、こちらもある程度慣れていないと「なんだ!なんなんだ!?幻覚でも見えているのか…!?」等と非常に狼狽することになる。
息子の場合は、OK例のやつですねという心持ちで「大丈夫だよ」と優しく声をかけながら抱けば数分で落ち着くが、場合によっては長引くこともある。
目はあらぬ方向を見ては、時折指を指して「あれ、怖い!(あれとはただのライトだったり壁の隅だったりする)」と言い、泣いてしがみついてくる。
このとき恐怖で体は固くなっていて、なんとか落ち着かせるために何かを飲ませようにも、気を紛らわせるためにお気に入りの歌を歌ってみようとも、恐怖に怯えた意味不明な挙動で拒否する。母親である私のことも分かっているのか分かっていないようなよく分からない感じで、とにかく異常になにかに怯えている。
ちなみに息子の場合は、一度発症するとたいてい一晩に二、三回は繰り返すため、一度落ち着いて眠りについても本当の最終回を迎えるまでは気が抜けない。こんな感じの現象が、8歳になった今も続いている。
息子のケースに限っては結構理由が決まっていて、体温管理をミスると発症するというのが分かっているので、なんらかの感染症に罹患して発熱している時は常に「分かってます、いつでもおいでください」という執事のような気持ちで心の態勢を整えているし、普段からも息子が寝入ってから1時間くらい経ったらそっと様子を見にいっては体温を確認し、汗をかいていたら布団をめくって涼やかな空気を送り込むなど、適切な温度管理に努めているが、やはり起こるときは起こる。そして夜驚症というのは、息子のように温度によるストレス等の他に、日中に経験した出来事がきっかけとなるようなケースもあるという。
とはいえ、こんな厄介な症状を未然に防ぐなんてことは子ども側の裁量でどうこうできることではないし、おそらく主に脳の成長を待つしかないのだけれど、当の本人は次の日の朝には昨晩怯えて何度も起きたことなどまったく覚えていないようなので、申し訳ないが子どもにむけては「成長過程だもの、まあそんなこともあるよね」と思うほかないだろう。
どちらかというとケアが必要なのはそれを見守る保護者側の方で、とにかくどんなに突然子どもの情緒が爆発し荒ぶっても動揺せず、穏やかな凪のように心を保つことが求められる。
これが実は非常に難易度の高い芸当で、私はひそかにその状態のことを「菩薩メンタル」と呼んでいるのだが、おそらく今ここで図らずも私が培っているこのメンタリティはまったく無駄ではなく、むしろこの先、息子がめでたく反抗期を迎えたときにその威力を最大限に発揮するものと見込んでいる。
そう、今は、いつか来たる「ある程度持続的な本物の荒ぶり」に耐えうるメンタルを強化するための練習をさせてもらってるんだ、と思うことで、私は自分の心持ちを保つことにしているのだ。
もちろん、そんな時期は来ないに越したことはないのだが、いかんせん当方ひとり親のため、一人息子の反抗期に多少なりとも傷つくことになるであろうことはある程度覚悟している。
なので、こうして時折メンタリティを強化する機会があることはある意味ラッキーだったのかも、といった明るく切ない曲解のもと、私は夜驚症の息子との日々を静かに乗り越えている。
そして夜驚症の子どもを持つ保護者側の人々にむけては、心の底から「お疲れ様です(合掌)」という思いでいる。
なにもがんばることはないので、ただひたすらにこの夜を乗り越えていきましょう。
ありがとうございます!