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弓道を勉強しませんか?射法訓。


「射法訓」は「礼記射技」とともに、
各弓道場にかならず掲げられています。

✅吉見順正射法訓

教本によると射法訓は
理念を内包(内部に持っていること)して
技術の内容を詳述しています。

ここからは教本をもとに紐解いていきます。

※弓道教本より参照

射法訓

✅吉見順正とはダレですか?

吉見順正は、台右衛門経武(つねたけ)と称し、
徳川時代中期における紀州藩の名藩士です。

当時における弓界名豪の星野勘左衛門(尾州藩士)、和佐大八郎(紀州藩士)等の先輩として弓道の教示にあたった文武兼備の名士です。

後年仏門に入り、京都大徳寺境内に居を移して「順正(じゅんせい)」と僧名している。
※弓道教本より

吉見順正が残した遺訓が私たちがいつも目にする「射法訓」です。
この射法訓には前文があり、
それを付け加えたものが射法訓の全文とされています。


「射法訓」の全文章

抑々(そもそも)、弓道の修練は、動揺常(どうようつね)なき心身(しんしん)を以て、押し引き自在の活力を有する弓箭(きゅうせん)を使用し、
静止不動の的を射貫く(いつらぬく)にあり。

その行事(ぎょうじ)たるや、外頗る(そとすこぶる)簡易なるが如きも、
其の包蔵(ほうぞう)するところ、
心行相(しんぎょうそう)の三界(さんがい)に至り、
相関連(あいかんれん)して機微の間(きびのかん)に、
千種万態(せんしゅばんたい)の変化(へんげ)を生じ、
容易に正鵠(せいこく)を補足(ほそく)するを得ず。

朝(あした)に獲て(えて)夕べ(ゆうべ)に失い、
之を的に求むれば、的は不動にして不惑(ふわく)、
之を弓箭(きゅうせん)に求むれば、弓箭は無心にして無邪なり。

唯々(ただただ)之を己に省み(かえりみ)、心を正しうして一念生気を養い、正技を練り、至誠を竭(つく)して、修行に励むの一途(いちづ)あるのみ。

正技(ただしいわざ)とは、弓を射ずして、骨を射ること最も肝要なり。
心を総体の中央に置き、而(しこう)して弓手(ゆんで)三分の二弦を推(お)し、妻手(めて)三分に一弓を引き、而(しか)して心を納む是れ和合なり。
然る後(しかるのち)胸の中筋(なかすじ)に従い、
宜しく左右に分かるる如くこれを離つべし。

書に曰く、鉄石相剋(てっせきあいこく)して火の出ずる事急なり。
即ち金体白色、西半月の位なり。
               

以上が「射法訓」の全文とされています。
「正技」の部分が、教本では「射法」にと表現されています。

✅射法訓の内容

▶教本をもとに紐解きましょう。

①「射法は弓を射ずして弓を射ずして骨を射ること最も肝要なり。」

弓を持って射を行う場合に弓矢の操作に捕われ、自己を失ってはならないとの心得を示したものである。
射は自己の筋骨をもって力行なければならないことを忘れないように、ということである。

※力行|りっこう、りきこう。
 努力して行う事・実際に行う事、力を尽くして行う事。

②「心を総体の中央に置き、」

心気の安定を図り身体を安定させなさい、とのことである。
総体の中央とは、身体の中央に位置する丹田を指すものである。

※丹田|たんでん
 道教の用語であり、臍(へそ)より少し下のあたり。
 エネルギーの中心となる場所。
 ここに力を入れると健康と勇気を得るといわれる
 丹田という臓器や筋肉は存在しない。

③「弓手三分の二弦を推し、妻手三分の一弓を引き、」

引分けの際における押し引きの心得を示したものである。
弓手をもって弦を押し、妻手をもって弓を引くというふうに反対に説示しているのは誠に奥深く、これにより引き分けは、弓と弦との押し引き相対応して均等に行わなければならぬことを暗示している。

※押引一如の原理
 押すことと引くこととは同じであり、
 押すことにとらわれて引くことを忘れたり、
 引くことにとらわれて押すことを忘れてはならないという原理。

④「而して心を納む是和合なり。」

押し引きが極まったならば、体の中央に置いてある心を丹田に納め、
身・心・弓の和合を図れということであり、三位(心技体)合一の「会」を示したものである。

※三位合一
 三位一体|身体の安定・心気の安定・弓技の安定が合一して
      一体となること。

⑤「然る後胸の中筋に従い、宜しく左右に分るる如くこれを離つべし。」

和合の分離、すなわち会から離れに移る場合の作り方を示したもの。
基本体型の中央に位する胸の中筋より左右均等に分離せよとのことで、
縦横十文字の離れを示したものである。

※縦横十文字
 足・腰・脊椎・頸椎を軸とする縦の線、
 左右を支配する両肩・両腕・両肘・両手指の横の線
 これら縦と横の十文字の規矩が弓道においての基本体型となる。

⑥「書に曰く、鉄石相剋して火の出ずる事急なり。」

射の偉大なる気力を示したものである。
的に対する中(あた)り、はずれを言外におき、
離れた矢勢いの鋭さは、あたかも鉄と石とが相剋して火の出るような、
その鋭さを形容しているのである。

※相剋|教本では「あいこく」
 矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと。

⑦「即ち金体白色、西半月の位なり。」

離れたあとの残身(残心)の射の位(射格)を示したもので、
あたかも暁天における金星が白色を帯びて東に輝き、
西に位する半月がこれと相対照している
黎明の位であるということであり、
射によって生まれる悟りの姿の真実を詠ったものである。

※黎明|れいめい
  夜明け。明け方。
 または、新しい事柄が始まろうとすること・その時。

✅まとめ

要約すると、

弓を持って射を行う場合に弓矢の操作に捕らわれて
自己を失ってはならない。
射は自己の筋骨をもって力行しなければならないことを忘れないように

ということでしょうか。

礼記射義はもっぱら弓道の理念を説いて術技を省略、
射法訓はもっぱら理念を内包(内部にもっていること)
して術技の内容を詳細しています。

射で悩み過ぎた時、
ふと「射法訓」をみると、

難しく考えすぎだな。

と、我にかえるときがあります。


が。

説明⑦の部分。

いや、それ。
無理ですから😱💦

まぁ、死ぬまでに一度は到達してあげてもいいかな?

え?

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