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5月歌会報告

5月も無事、対面歌会ができました。
参加者10名と少し少なめでしたが、その分じっくり一つ一つの歌を味わうことができました。
早速今月の1席歌を。

靴の裏から沁みてくる雨。もしかしたらわりと多くの人が一度は経験済みなのではないでしょうか。
そういうわけで、なんとも言えないあの不愉快な感じを実感しながら、4~5行目「あなたの気配」へと繋がっている不思議さを感じた人が多かったようです。
じわっと靴下にまで沁み込んでくるあの不快感と、おそらくは作者にとって大事な存在であろう「あなた」の気配がどうして結びつくのか?
それでもなんとも言えない情緒や切なさが伝わり、詩的な世界に惹かれた人が多く、堂々の1席でした。
さて、作者はいつも1席歌に素敵な画像を付けてくれる稲本さんでした。
今回も1席の作者自らがご褒美画像付けてくれました(笑)。
なんの写真かお分かりの人がいるでしょうか?
それを言えばこの歌への理解もすんなり進むことと思います。
ズバリ、画像は作者の「推し」の某アーティストのライブツアートラック。
そしてそのアーティストは相当な雨男だそうです。
このときのライブには行けなかった作者、でも会場の近くまで出向き写真だけ撮ったとのこと。
空からはお約束の雨……ああ、来てるんだ、近くに来てるんだ!という思いからこの歌ができたとは、いつもながら凄いです。

続いては2席と3席の歌です。

奇しくも日本人ならではの感性から出来た歌が並びましたました。
お二人とも九州歌会の中では比較的新しいメンバーです。
こうやって上位に入っていただいて嬉しい反面、私もうかうかしてはいられない!という気にもなります。

2席・韓(から)さん作。
小さな器から縄文時代へと思いを馳せ、同時に古(いにしえ)の風まで感じてしまう心の豊かさよ!
作者は歴史にとても詳しく、子どもの頃から縄文・弥生時代の器などに触れていたそうです。そういう経験が、頭で考えただけではない、説得性のある歌を生み出す力となっているように感じます。
「継ぐ」という言葉が連続して3回も出てきているのにとても自然で、流れるような4~5行目の呼吸に繋がっていくところが素敵です。

3席・稗田さん作。
切れ目なく散文のような歌。それなのにとても詩的。
アーモンドの花を見たことがなかったので歌会中にスマホで調べてみると、本当に桜そっくりで驚きました。色は白いものから濃い目のピンクまで。
異国暮らしを気に入っていてふだんは帰りたいなどと言わない娘さんだそうですが、この花を見るとどうしようもなく郷愁をそそられるのでしょう。
娘さんの外から感じる故郷への思い、それを日本の中にいて受け止める親としての心、両方を感じます。

他の7首も個性豊かでそれぞれに味がありました。
人数は少なくてもコメントが活発に飛び交い楽しい時間となりました。

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