9月歌会結果報告
今月もネット歌会となりました。
参加率はいつも高く、今月も16名!
投稿から作者発表&作者コメントまでの流れに約5日間かけています。
ネット歌会の良いところの一つは、選をした人・作者それぞれのコメントが残るという点。
何度でも読み返すことができますし、本誌に出すレポーターの当番になっても読みながら書けるので意外と楽です。
さて、それでは今月も上位1~3席の歌のご紹介です。
1席歌は2首でしたが、両方の雰囲気をうまく捉えて、稲本さんが素敵な画像を付けてくれました。
コロナの時代になる少し前に九州歌会に入って来られた藤井さん、もしかして初の1席だったかもしれません。
おめでとうございま〜す!
最初の2行で鮮やかに映像を見せておいて、そのあとは、自分の経験を重ねながら少女のこの先の長い人生に思いを馳せている。
そこには温かいまなざしとエールを送る気持ちがある。
・「哀しみ」だけでなく「歓び」も入っているところが重くなりすぎず良い
・「喜び」でなく「歓び」、「悲しみ」でなく「哀しみ」といった漢字の選び方も大人の複雑さを表現できている
……などの感想がありました。
もう1つはわたくしめの歌。
こちらはあえて主語を入れなかったので、何の余韻なのかは読み手の方がそれぞれに感じ取ってくれました。
このコロナ禍で多くのライブがキャンセルやオンラインだけになっています。音楽大好き人間の私は、ライブにもちょくちょく行っていたのですがそれも今はなかなか難しく……。
先日あるミュージシャンのオンラインライブをYoutubeで観ましたが、本来なら一緒に行った人たちと帰りにお店に寄ってワチャワチャと感想を言い合ったりするのが、もう一つの楽しみだったりします。
でも今はそんな楽しみも奪われています。
……が今回は、あるYoutubeチャンネルが、ライブ直後にファンが集って興奮冷めやらぬままチャットで語り合うという企画をしてくれたおかげで、いつもの感覚を味わうことができました!
その企画のタイトルが「帰り道」だったのです。
ということでそこから発想した歌でしたが、演劇だったり映画だったりデートだったり、自由に読んでいただけたらいいなと思っていました。
(九州歌会は大人の歌会なのである人は「情事」と思っていました(笑))
いずれにせよ伝えたかったところはしっかり受け取っていただきました。
では続いて2席と3席の歌です。
2席、紫野恵作品。
ノスタルジー溢れる作風に、昭和時代が青春ど真ん中のメンバーみんな惹きつけられました。
LPを傷つけないように大切に扱っていたあの頃、それでも疵がついて針が飛んだのもまた懐かしい。
作者は「青春に哀歌は付き物。切なく惨めな思い出は尽きない。 LP盤の疵がいま秋の光を受けてそこだけ反射する。」とコメント。
三席、南野薔子作品。
前3行の表現の美しさ。子供の頃の純粋さや無邪気さをこんなに素敵に表現している歌を見たことがないくらいです。
でも作者は、「引っ込み思案でウジウジした子どもだった」と。ただ、ものごとを知らないゆえの純粋さは一応あったんだろうなとも考え、そのあたりのすっきりと割り切れない感じが最終行の「 か」としてわりとすんなり出てきた、ということでした。
この、一文字空いての「か」が効いています。
というわけで、今月も少しですがご紹介しました。
10月は久しぶりに対面歌会ができたらいいなあ。