【エッセイ】 表現欲

日本では三大欲求という、マズローの五段階説をちょっと崩したような出典不明の俗説みたいなのがあって、「食欲」「睡眠欲」「性欲」ということになっている。
大体、順番で言うと性欲が一番最後で、言い終わった後相手の顔を見てニヤニヤするということが、今も日本列島のどこかで行われている。のだが、私は「表現欲」と言うことについてふと考えるのである。

と言うのも、この食欲とか睡眠欲とか性欲と同じような感じで、一定の周期で発散しないと、明らかに体調を崩したり、なんかしらの歪みみたいなのが起こるのが表現なんだろうと思う。

しかしながら思うのは、これらの欲というのは根本的にはみんな同じで、だからこそ、どれか一つが満たされると、その他の欲は緩やかになるような気がする。

考えてみれば、人間は生まれた瞬間から爆発的に泣き叫ぶのである。それは、自分が今この世の中に存在しているということを「表現」するためであり、それによって周りの人たちに認知され、世話をしてもらうことができる。何も「表現」することなく生き延びている人などこの世にいないのである。

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ゆでたま
おいしいものを食べます。