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「マーケティングは愛の技法」という先人の主張は、私も正しいと思う。【基本すぎるマーケティングのお話/001】

マーケティングの教科書を読むと、いろんな概念が出てきますね。有名どころでは、4Pとか4Cでしょうか。(マーケティングの仕事をしているならば、最低この2つは知っておくと恥ずかしくないかもしれません)◯◯マーケティングなんていうのも無数にあります。

「マーケティングは恋愛に似ている」なんてカッコイイこと言った先輩がいますが、ええと、私もそう思います。「愛の技法」、もっと言うと「求愛の技法」です。(なので実生活でも使えます(たぶん))。

一応、4Pと4Cを簡単に説明しておくと、4PはProduct、Price、Place、Promotionのこと。マーケティングを構成する4要素だそうです。

Productは製品、Priceは価格、Placeは売る場所、Promotionは広告とか販促活動ですね。つまり、製品作って+値段つけて+売る場所確保して+広告して売る、という訳ですね。

4Cの方は、Customer Value、Customer Cost、Convenience、Communication。

4Pは「やることリスト」なだけなので、どういう製品を作ればいいの?どう値段をつければいいの?どこで売ればいいの?どう広告すればいいの?というHOWの部分が書いてないのに対して、少しHOWの部分を入れたのが4Cです。

つまり、Customer Value(お客さんが価値を感じる製品を作れ)、Customer Cost(お客さんから見たコスト感で値段をつけろ)、Convenience(お客さんにとって買いやすいように売れ)、Communication(お客さんがグッとくるように魅力を伝えろ)、です。

だけどまあ、そのすべてが「求愛」のためです。あらゆる手段を使ってお客さんに振り向いてもらう。それがマーケティングです。誰がなんと言おうと。


1.  「お客さんが振り向いてくれる製品を作れ」

むかし、「空気清浄機付きテレビ」を売ったメーカーさんがいました。いま思うとそのカオスがとってもチャーミングですけども、あまりにカオスすぎて全然売れませんでした。「お客さんが価値を認めなかった」、いや正確には、「お客さんが価値【と】認めなかった」んですね。

たぶん社内では検討に検討を重ねて、市場調査もして、その結果も良好だったから(つまり調査の段階ではお客さんも「いいねえ」と言ってたってこと)売り出したはずです。確かにテレビも空気清浄機もだいたいリビングにあって、ふたつあるよりまとめちゃった方がスペースもスッキリするから、良さそうではあります。

でもたぶん、現実世界の中で(リサーチって現実世界と違うんですよね。。。だから難しい、ホントに)お客さんが「空気清浄機付きテレビ」って聞いた時に、「えっ」ていうか「うっ」って思っちゃったんだと思うんです。

なんかその気持ちもわかるじゃないですか。あなたも思いませんでした?たぶんこの「うっ」を言語化するのってすごく難しいんだけど、でもとにかく「うっ」なんです。で、「うっ」て思われた時点で、終わりなんです。

たとえ作った方が「これすごくいいと思うんだけどなあ」といくら思ったとしても、お客さんがそれを価値【と】認めなかったら、ダメなんです。お客さまは神さまと言われる所以です。

でも、「このお客さんが分かってくれないんだったら、分かってくれるお客さん探すわ!」っていう生き方もあります。その根性素敵です。

「空気清浄機付きテレビ」の場合はわかりませんが、たとえば『フランスからやってきた超強炭酸のソーダ』を売るとして、「これ超強炭酸なんですよ!」っていう売り方もできるし、「フランスから初上陸なんですよ!」っていう売り方もできるし、「お医者さんがダイエットに効くって言ってます!」っていう売り方もできるわけです。

で、最初のは「強炭酸好き」とか「今までの強炭酸に飽きたらなかった人」に向けて売ればよくて、二番目だったら「フランス好き」に売れば売れそうだし、最後のは「ダイエットマニア」とかに売れば良さそうなわけです。

つまり、「振り向いてくれる製品を作れ」って言うけど、実は大事なのは、出来上がった製品のどのアピールポイントを取り上げて、誰に当てるかっていう、「価値候補」と「顧客候補」をマッチングさせる作業だったりするわけです。

もちろん、なるべくたくさん売りたいわけだから、「強炭酸好き」と「フランス好き」と「ダイエットマニア」では誰が一番多いのかをあらかじめ調査で把握しといて、一番多いターゲット目指して売るということになるわけです。

逆に言うと、製品を企画する段階で、「ここらへんがボリュームゾーンだから、ここらへんの人が振り向いてくれる製品にしよう」という段取りにもなってくるわけです。

でもたとえば、首周りのイボが気になる女性向けに製品を開発して売ってみたら、意外とそれ気にしてるおっさんが多くて、おっさんにバカ売れ、なんていう例もあります。そうしたらそういう売り方になるべく早く軌道修正するってことになるわけです。(私も首周りのイボめちゃくちゃ取りたい)

こうやって、「価値候補」と「顧客候補」の両方が”動く標的”みたいになってる中で、どうやって両者をバチっと合わせるかというのが、マーケティングの醍醐味なんですねこれが。


2. 「お客さんが振り向いてくれる値段をつけろ」

続いて価格設定のはなしです。もちろん、「まあ!安いわあ」というのも振り向かせる方法のひとつですけども、それはすぐ「まあ!こっちの方が安いわあ」になって、じゃあ、ってもっと値段を下げれば、いっときはボクのところに戻ってくれるけど、またライバルが値段を下げたらすぐバイバイされちゃうんで、あんまり良い手ではないです。ボクもライバルも疲弊して、誰得なドツボにハマりがちです。

「高いから効きそー」っていう値段の付け方もあります。化粧品なんかに多いですが、化粧品の原価率なんか10%くらいですから、ホントは今の値段から8割引くらいしても利益が出るんですが、そうすると「効きそう感」がなくなって逆に売れなくなったりします。
ハイブランドの製品なんかもそうですよね。◯イ・◯ィトンのバッグが3,000円で売ってたら、絶対パチモンだと思うし、万一それが本物だとしても、お客さんとしても嬉しくないですよね。
だって、「アタシ、ウン十万のバッグ持ってるの」ていうのを自慢したいのに、値段が3,000円だったら自慢にならないですからね。(実はクオリティが同じだとしても。。)

値段ひとつでも、いろいろ振り向かせる作戦があるんです。これを「戦略価格」と言ったり、「価格の戦略性」と言ったりします。知らんけど。


3. 「お客さんが振り向いてくれるような場所で売れ」

これ、売り場のことですけど、まず、「目につく場所で売る」、これは絶対の真実です。100円のアイスでも、100万円の時計でも。目に入らなかったら買うも何もないですからね。
安い商品はだいたい、CMとかで見て何となく頭の片隅に残ってて、店頭でそれを見つけて「あっ」て手に取るっていうパターンです。
だから店頭の目立つ場所に置いとくっていうのがすごく重要なんですけど、どのメーカーも自分とこの商品を目立つとこに置きたいわけなんで、そこで激しい争いが起きるわけです。
決めるのはお店です。なのでメーカーの営業さんはお店の担当者に死ぬ気で食らいつきます。いまだにCMが流れる本数と売上は相関があるみたいなんで、「CMたくさん流すんで、いいとこに置いてください!」ってプレゼンしたり、お金渡して置いてもらったり(販売奨励金とかリベートとか言います。今はどのくらいやられてんだろ?)、はたまたお店の陳列手伝ったり掃除手伝ったりして、何とかいい場所に置いてもらえるように、熾烈な競争を繰り広げます。頭が下がります。

100万円の時計でも、「目につく場所で売る」は同じです。でもこの場合は、「目につくけど買えない!」場所で売る、がカギです。だからハイブランドのショップは、知る人ぞ知るシークレットな場所じゃなくて、誰もが通る目抜き通りにショップを構えるんです。
だって、「目にするけど買えない!」「そこにあるのに買えない!」が憧れをつくるわけだし、まったく見たことなかったら憧れも何も抱きようがないですからね。
で、はい、お金持ちは、「そこにあるのに買えない!」豪華なお店にゆるりと入って行って、「そこにあるのに買えない!」ものをゆるりと買うことで、「キモチいいー」になるわけです。高級すぎて入りにくいエントランスも、看守のようなドアマンも、手袋までして恭しく商品に触れる店員も、すべて、「アタシは、入りたくても気が引けるところに堂々と入れて、みんなが買いたくても買えないものが買えるんよお」って鼻の穴を膨らませるキモチよさのためにそうしてるんです。


4. 「お客さんが振り向いてくれるような売り方で売れ(あと言い方も大事)」

ハイブランドのブティックの例でも少し書いてしまいましたが、「わあ」って思ってくれるように売るって、すごく大事です。(書きながらなぜか、上半身裸の男の子がズラッと居並んでたアバクロのブティックを思い出してしまいました笑)
「わあ」にもいろいろありますよね。通りに向かって匂いを撒き散らしながら焼いてる焼き鳥屋だってもちろんわざとだし。もちろんCM見て「わあ」と思ってもらうのもそうです。いっぱいあります。そのうち詳しく書きます。いずれにしろ、「振り向いてくれるように売れ」です。これをコミュニケーションとも言います。


ほらね、全部「振り向いて〜」でしょ?4Pも4Cも。だからマーケティングって、たったひとつ「振り向いて〜」のために手練手管を駆使して頑張る活動のことなんです。そしてもうお気づきのように、それって求愛そのものでしょ?(最初のうちだけだけど)だからいろいろ参考になるでしょ?(最初のうちだけだけど)いちいち説明しないけど。



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