期待値ゼロスタートのすゝめ
いつも僕は「どうせうまくいかない」と思ってビジネスを始める。だからリスクヘッジはしっかりするし、極端なリスクは背負わずにスタート。そもそも失敗しても大きな痛手にはならないものだけを選んで、サンコストでビジネスを続けないよう気をつけてる。ダメなら損切りして別のやるだけ。
— なぁさん|しょぼい起業家 (@nst_nakata) January 3, 2025
はじめに
ぼくはいつも、「どうせうまくいかないだろう」と思いながらビジネスを始めます。一見するとネガティブ思考のように思われがちですが、実はこのやり方がぼくにとっては最も合理的なのです。なぜなら、リスクをしっかりコントロールしながらスタートを切れるから。極端なリスクを背負わなければ、万が一失敗したとしても大きな痛手になりません。
もちろん、「失敗なんてしない」と強気で始めるのもひとつの方法です。ただ、ぼくはその逆をいくことで精神的にもラクになり、結果として継続しやすくなるメリットを感じています。本記事では、「うまくいかない前提」でビジネスを組み立てる際の考え方や、サンクコストに惑わされないための工夫を深掘りしてみたいと思います。
「どうせ失敗する」と考える意味
「どうせ失敗するんだから、思い切ってチャレンジできなくなるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ぼくの場合はむしろ逆です。初めから失敗を想定しておくからこそ、安心して一歩を踏み出せます。たとえば、以下のような効果があります。
1. 心の安定
大きく期待しすぎると、万が一うまくいかなかったときのダメージも比例して大きくなるものです。逆に「どうせ失敗する」と思っていれば、万一の事態に備える心構えができます。結果的に精神的ストレスを軽減できます。
2. リスク管理がしやすい
リスクを前提に織り込むからこそ、初期費用を抑えたり、大きすぎる投資を避けたりできます。たとえば、高額な設備投資をいきなりするのではなく、小さいスケールでテストしたり、オンラインだけで完結できる仕組みを探したりするなどの工夫がしやすいのです。
3. 撤退ラインを明確にできる
失敗を見据えているからこそ、「どの段階で損切りするか」を決めやすいというメリットもあります。もし結果が伴わないなら、最初から想定していたラインでやめられますし、早めに見切りをつけることで最小限の損失に抑えられます。
極端なリスクを背負わないスタート
ぼくは、始めるときには極端なリスクを背負いません。その基準は「失敗しても痛手にならない範囲であるかどうか」です。これにはいろいろな方法が考えられます。
• 小さく始める
いきなり大きな資本や人材を投入せず、最小限の資金や人手でスタートします。これは商品の在庫を必要以上に抱えないとか、SNSやウェブサイトなど無料もしくは低コストの媒体でマーケティングを試してみるといった方法で実現しやすいです。
• 得意領域から試す
自分が得意とするスキルや、知識が活かせる分野に限れば、予測不能なリスクはある程度コントロールしやすくなります。まったく未知の領域に飛び込むより、失敗の確率を下げることができるのです。
• 外注・委託で柔軟に対応
固定費が高くなるような人件費を抱え込まず、必要に応じてフリーランスや外部の業者に依頼するなど、変動費型の体制を作るのも有効なリスク回避の手段です。
こうした工夫を組み合わせることで、万が一うまくいかなくても痛手が小さくなるように事前に準備するのです。
サンクコストに惑わされない
一度ビジネスを始めると、「ここまで投資したのにやめるなんて勿体ない」と思いがちです。この気持ちはいわゆる“サンクコスト”の問題で、すでに費やした時間やお金を取り戻そうとして、引き際を見失う典型的なパターンです。
ぼくの対処法
ぼくは「最初からうまくいかない前提」でリスクを小さくしているため、仮に失敗しそうだと判断すればスパッとやめることが比較的容易です。具体的には以下のような基準を設けています。
1. 売上目標と期間の明確化
「この期間までにこれくらいの成果が出なければ撤退する」というラインを、最初から設定しておきます。数字で決めておくと感情に流されず、スムーズに判断できます。
2. 損切りの潔さ
事前に決めたラインを超えても、「もう少し頑張れば…」と粘る人が多いです。しかし、ぼくはそこを徹底して切り離すようにしています。新しいビジネスやアイデアにリソースを回したほうが、結果的に得になることが多いとわかっているからです。
3. 成功要因を再点検
損切りを決断する前に一度だけ、「何かテコ入れできる部分があるか」を短期間で検討します。それでも見込みが薄いと判断すれば、早めに見切りをつける。これを徹底することでサンクコストの呪縛を回避しやすくなります。
「どうせダメなら別のをやる」
ぼくのモットーは「ダメなら損切りして、また別のことにチャレンジすればいい」というものです。悲観的に聞こえるかもしれませんが、実際にはとてもポジティブな発想です。というのも、うまくいかないものに執着しすぎると、ほかに生まれるチャンスを見逃してしまう恐れがあるからです。
• 機会コストを意識する
あるビジネスにこだわっている間に、新しい市場やトレンドが生まれ、そちらを先に押さえた人が成功を収めているケースは多々あります。早めの撤退で浮いた時間や資金、労力を次のビジネスに投入できれば、思いもよらない可能性が開けるものです。
• 失敗で得たスキルは無駄にならない
過去のビジネスで培った経験や知識は、別のプロジェクトに応用できることが少なくありません。たとえば、マーケティング手法や顧客の反応を見極めるスキルなどは、どんな事業にも生かせるでしょう。失敗したとしても「やってよかった」と思える要素がきっとあるはずです。
おわりに
「どうせうまくいかない」と思ってビジネスを始めるのは、実はぼくなりの合理的なリスクヘッジの方法です。大きな期待を抱きすぎず、小さくスタートして、合わなければ潔く撤退する。そして、別のアイデアを試す。このサイクルを回すことで、どんなビジネスでもそこそこ楽しみながら進められるし、意外と成果につながることもあります。
どんな挑戦でも、最初から大きなリスクを負う必要はありません。リスクをコントロールしながら、「とりあえずやってみる」スタンスを持つことで、ビジネスの失敗を恐れる気持ちはだいぶ軽くなるはずです。うまくいかない前提で動くからこそ、失敗したときのダメージも最小限に抑えられるし、成功の兆しが見えたらそこから一気に拡大するチャンスも得やすいのです。
「ダメなら損切りして、また次のをやろう」—そう言えると気分はとても軽くなります。もし、何か新しい取り組みに踏み出すのが怖いと感じているなら、ぜひ“うまくいかない”前提のスタートを試してみてください。案外、その気楽さがビジネスを加速させる鍵になるかもしれません。
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