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カラーラフを下敷きにしてみた話

新しいイラストを描きました。聖騎士シリーズより寸劇と掌編小説のサムネイル用で、士官学校時代のグレッグとゲテルギウス(創作キャラ)です。

■ 今回の制作テーマ

・エスキースの段階でカラーラフを作る
・苦手なパーツをあらかじめスケッチ

今回は握手の絵を描こうと思っていたので、腕のスケッチとアイデアラフを並行して進めました。
今までと違うのは、アイデア出しの段階でカラーラフを作ってしまったことと、腕だけ先に描いておいてそれを実際の画面作りのときにコピペしたことですかね。

シーン設定としては、お忍びで士官学校に入学したゲテルギウス第一王子と、ルームメイトのグレッグが初めて挨拶を交わすシーンの絵です。共有部屋に入ってくるなりかなりフランクに話しかけてくるグレッグと、同世代の男子とまともに話すのが初めてなゲテルギウス王子。

今回も大好きな逆光にしました。本当に逆光しか描いてないな。もしかしたら私は人体のシルエットというものが好きなのかもしれないです。

■ アイデア出し・腕のスケッチ

スポーツ握手

色んなタイプの握手をスケッチしながら、エスキース(下絵)を描いていきました。

この段階でカラーラフを作ってなんとなくの雰囲気を決めたつもりでいたのですが、ちょっと古めかしい感じがしたのと二人とも学生に見えない感じだったので描きながらイメージのすり合わせをしていきました。

ちなみに今回のラフ・線画はProcreateの「モーリラ」というブラシで描いています。ちょっとヌルッとした描き味で結構好みでした! 水彩塗りと相性が良さそう。

■ カラーラフを下敷きにしてラフ

なんとなく完成形が見えるから不思議

作業画面にカラーラフを貼り付け、拡大して画面に配置しました。このときに腕のスケッチも別レイヤーで取り込み、位置を合わせておきます。

カラーラフだと二人の距離が近すぎて腕のスケッチと齟齬があったので、カラーラフのゲテルギウス(右)を選択範囲で右側に移動させました。

いつものようにトリミング用の塗りつぶし枠レイヤーを一番上に作り、仕上がりの構図を確認しています。

余談ですが、最近デトロイトビカムヒューマンというゲームの世界観にハマっていて……ゲテ様のお顔と体を描きながら「マーカスみたい!!」と思ってました。私もアンドロイド描きたい……。

■ 下塗り

ほぼカラーラフ通り

カラーラフを参考に、背景と人物の下塗りをしていきます。色を塗ると描き込みをする前におかしい箇所がわかっていいですね。グレッグ(左)の頭が大きかったのでこの後選択範囲をかけて縮小しました。

■ 全体影

カラーラフを非表示に

人物に乗算レイヤーでオレンジの全体影をつけました。夕暮れになる前の午後の設定だったのですが、これ以外にしっくりくる色がなくて「なんか普通だな……」と思いながら進めました。予定通りではあるのですが……何か足りない!

カラーラフを非表示にして全体の雰囲気を確認しています。

■ 背景ぼかし + 下からの照り返し

どうにか早いうちに全体の雰囲気を作れないかなと思い、背景と空間遠近の演出に入りました。

背景の窓枠をぼかし、下からソフトライトで水色の照り返しを入れています。照り返しはカメラと人物との間に空気の層ができる感じがして気に入っている手法です。暖色系でいきたいところでしたが、今回は制服の色が濁らないよう青系にしました。

■ 全体影の色をチェンジ

あっ……いい……

全体影の色相を色々といじっている中で見つけた最適解。ちょっとナイトプールっぽい色味ですが、やけに綺麗だったので採用しました。

背景に色味の演出

レイヤーモード:焼き込みカラーで、背景右側からエアブラシで薄紫を入れました。赤みが出て手前の人物とも馴染みました。

■ 写真アプリで加工して、一旦作業終了

エモい

一度出力して、iPadの写真アプリで色味を加工しました。ビビッド(暖かい)を100%でかけています。エモい。過去のお話なのでトリミングして写真ぽくしてみました。深夜のテンションは怖いですね。

このまま完成でも良さげだったのですが、もうちょっと描いたらどうなるんだろう……と思いつつ、気になる部分に赤ペンだけ入れておこうと思い立って次の日に作業しました。

■ セルフ赤ペン添削(2日目スタート)

これさえ直せばOKと思っていた

こんな感じで、今回は作業ファイルの一番上に新規レイヤーを作って赤ペンを入れていきました。とりあえずここだけ手を入れたら完成かな〜なんて思いながら。

修正案を描き込みながら思いついたので、グレッグの髪をテクスチャで塗り分けてツーブロック表現にしておきました。

■ とりあえず赤ペンの箇所を修正

地味すぎる修正

赤ペン箇所に手を入れてみたはいいものの、いまいち完成度が上がった気がしなかったので作業続行。ひたすら手を入れていきます。地味にゲテルギウス様の左目を右に寄せたり、握手の線が他より太かったので少し消しゴムで痩せさせたりしました。グレッグの髪の形を整え、前髪に反射光の色を入れました。

■ 肌に影を入れる

いい色だ〜

肌に2影を入れました。人物にちょっとだけ厚みが出てきました。雰囲気作りを終えていよいよ描き込みスタートという感じです。

お顔の血色UP↑

乗算レイヤーで3影を入れました。腕ではなく顔に目が行くように、エアブラシで色味と濃さを足す程度の調整です。

目の描き込みを進めました。まつげに色を入れたり、ハイライトを入れたり、白目の影を入れたり。

■ 髪に逆光を入れる

遠近感が出てきました

奥からの光が髪に当たっている部分を描きました。普段はスクリーンレイヤーで描くのですが、今回は通常モードで描いてました。

この時点でエポレット(肩章)も黒塗りにしています。

■ 線の整形や細かい描き込み

顔の線画と全体影の形を整え、王立エンブレムを描きました。頬骨のハイライトは全体影を消しゴムツールで消して、指先ツールで控えめに馴染ませています。ゲテ様の髪のハイライト(控えめ)も描きました。

ここでようやく体のアタリ線を消したのですが、ムキムキな感じがなくなって寂しいですね……。制服だから仕方ないけど。グレッグの方はちょっとだけ体のラインの感じを残したので、ちょっと警察官の軽装っぽい感じになりましたね。アメリカ映画に出てきそう。

服の影

服のシワ影を描きました。最近ははみ出しや塗り足しの修正で指先ツールばかり使っています。いちいち効果レイヤーを非表示にしてスポイトで色を取らなくていいのでめちゃくちゃ時短になってます。精神的な負荷も少なくて最高。

服のテクスチャ

布感を出したかったのでうっすらと乗算レイヤーでテクスチャブラシ。確か素材ブラシのダントルカストーだった気がする。

■ 画面全体にノイズテクスチャを加える

印刷物感が出る

最近ハマっている加工です。50%グレーの塗りつぶし→ノイズを作ってレイヤーモード:ソフトライトにすると、一度紙に印刷したようなテクスチャができます。

最初のグレーを50%にすると明るさが変わらずに加工できるっぽい(今回気付いた)。場合によってはオーバーレイとかでもいいけど、今回はソフトライトにしました。

地味にゲテ様のおでこを出して聡明さを演出しています。目も綺麗にしました。

■ 写真アプリで加工して完成!

グレッグ・ヴァルだ、よろしく

というわけで完成です! 下からの照り返しが効いてますね〜。

最近はnoteを描きながら更に絵に手を入れるということを繰り返しているので、一段階前から細かいところを直したりしています。総作業時間はファイル上だとアイデア出しに1時間、本描きに6時間弱。結構こだわったな……!?

どの時点でかは忘れちゃったけど、今回は部分的に線画の色を馴染ませる色トレスをしています。黒線画大好きなんだけど……それだとどうしても雰囲気が出ないところに使ってます。

ここで一日目との比較です!

ビフォー
アフター

うんうん。エモさはそのままにより温度感や空気感がプラスされた気がする。私は色が大好きなので、色塗りで遠近や温度、湿度感がうまく出てくれるととても嬉しい気持ちになります。

なんとなくですがアイドル養成校を描いた乙女ゲームみたいな色味になった気がします。ちょっと現代みのある塗り。

■ まとめ

【実験結果】
・エスキースの段階でカラーラフを作るとよい!

・苦手なパーツはあらかじめスケッチしてコピペ!

【気付き】
・制作に詰まったら写真アプリで色味を加工してみよう!
・セルフ赤ペン添削、めちゃくちゃ捗る!

アイデア出し時点でのカラーラフはとても良いなと思いました。イメージ持ちにくい時は特に。最初なんて「人物と窓枠どっちの方が暗いの????」って混乱してましたし。
苦手なパーツのスケッチも同様ですが、一度本番の画面外で実験してから本番に入るのは精神的にもとても良いと思いました。

あと今回は間をおかずに制作に入ってしまったけど、スケッチとエスキースのカラーラフを大量に溜めておくとそこから選んで制作できるのめちゃくちゃ楽じゃない……?

今月はそろそろクールダウンしたいので、来月に向けてエスキース量産に入ろうと思います。制作は我慢我慢。

ここまで読んでくれてありがとうございました。
ではまた次回!


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