ヤバイTシャツ

幼少の頃、不思議な体験を幾度かしたことがある。

家に帰ると、壁に顔だけが2つありその顔が何らかの会話をしている、みたいな事があった。意味が分からないかもしれないがこれ以外の表現が見当たらない。

当時はこれが当たり前だと思っていたのでなにも思わなかったが、今思えば、俗に言う幽霊的な類いのものだったのだろう。

ソファで寝ていて目を覚ましてふと横を見ると、完全にキャスパーみたいなお化けが浮いていたり。キャスパー程可愛くはないが。

お風呂に入ろうと思い、服を脱ぐも、Tシャツを脱いだ記憶はないのに、もう既にTシャツは脱がれていて上半身は裸。周りを見ても脱いだ痕跡はない。どこを見てもTシャツは見当たらない。多少、パニックになるも、深く考えずに、お風呂場に入り、シャワーをひねり、水しぶきが当たる刹那、身体に違和感。

ビショビショのTシャツを着た人が立っていた。

また、パニックになるが、どう考えてもその人物は正真正銘、自分自身。わけがわからないが、答えを出そうにもあまりにも難しい。

実は着ていて、脱いでもいないのに、疲れていて脱いだと錯覚していたのか。大人なら分かるが、幼い身体に、疲れから錯覚するのはどうも考えにくい。

そのTシャツに意思があり、透明になれる能力を身につけ、水圧で効果が切れてしまったのかもしれない。

どうにもこうにも流石に子供ながら、気持ち悪いと思い、そのTシャツを捨てようと思ったが、気のせいだと思い込み無かったことにした。捨てるには惜しい戦隊モノのTシャツだったから。

などなど、不思議な体験を挙げると枚挙にいとまがない。

親も親で色々と体験談があるようだが、本人が話したがらないので聞いてない。なんやかんやでその家を引っ越すことになり、それ以来、摩訶不思議な体験は無くなった。

大人になった私は、何故か毎日のように財布からお金が減っていく現象が起こっている。

不思議だなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?