[絵本]ラチとらいおん
ちょっと本棚に飾りたくなるような、すっきりした黒表紙と控え目な大きさの素敵な装幀です。もちろん内容は数十年読みつがれた名作、内気な子供たちのバイブルでしょう。
主人公はラチという男の子。たいへん弱虫で、お友達さえこわくて一人で本を読んで過ごしています。そこに赤い小さなライオンが、ラチを強くするためにやってきました。
つよくなるのには、まず たいそうを するんだよ。こんなふうにね
このページが大好きです。ライオンがゆるーく体操する姿が並んでいて、何しろ可愛い。さらに「強くなるには」と、具体的な行動を示してくれるのが素晴らしいです。
誰しも、強くならなくちゃ!と決意だけでは変われなくて、具体的な行動の裏付けで自信をつけていくものですから。
この小さな赤いライオンが、一緒に運動し励まし続けてくれるお陰で、ラチは犬も暗い部屋も克服、そしてとうとう大きなのっぽの意地悪にも果敢に立ち向かい、お友達のボールを取り返します。
娘のセイは、ザ・長女。小さい頃から技能面は器用で、お箸とか自転車とかひらがなとかで困ったことはなかったのですが、お友達とのお付き合いが超不器用。保育園のクラスが下の子ばかりだったこともあり、サバイバル下手でした。お昼寝の時間には、メロンパンナちゃんもアンパンマンも取り損ね、バイキンマンと毎日寝ていたそうです。まずは自分に自信をつけて、臆病にならずお友達に踏み込んで欲しいといつも思っていました。そんな折に出会ったのがこの絵本です。
セイはもうすっかり大きいけれど、どんな子供も、もちろん大人も、心のポケットに赤い小さなライオンを連れて、勇気を持って進んでいけますように。
そんな宝物になる一冊だと思います。
☆☆☆
ラチとらいおん
マレーク・ベロニカ 文・絵
徳永康元 訳
福音館書店
出版年月1965年7月https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=37
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