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リハビリと介助の区別〜ADL動作時に本人にやってもらうことと介助の境界線とは?〜

脳外臨床研究会会長 作業療法士 山本秀一朗
セミナーレポート作成 言語聴覚士 yucco

フルリカバリーを目指し、全国のセラピストと共に成長し続ける脳外臨床大学校で活動するyuccoです。

脳外臨床大学校オンラインサロンでは、日々たくさんのセミナーが展開されており、オンラインサロン内だけで留めておくのはもったいない!!
全国の悩んでいるセラピストや困っている患者さんの力になる学びを届けたいと思い、セミナーレポートとともにお届けしています♪


《はじめに》

臨床指導の場面で、患者さんが寝ていて「起きましょう」とリハビリ室にいく時から単位をとってますか?
「起きてください」「靴履いてください」といって起こさずに待っているセラピストが多く、そこから車椅子の準備をして移乗をします。
ここって無駄な時間に感じませんか?

ここを「しているADLの練習」だと思っている人がいます。
ADL訓練はADL場面でやると思っていませんか??
リハビリ介入の時に病棟でやってもらいましょうみたいな流れがあります。

一回の起居動作や靴を履くことは評価なのか?
リハビリなのでしょうか?
一回の靴を履く動作はやるべきことなのでしょうか?

《ADL評価なのかリハビリなのか》

リハビリの場面で一回靴を履く動作は、評価として見るのであれば良いと思うが、リハビリとして行うべきではないと考えます。

靴を履く時に必要なことは、足を入れてきたときに足趾で足を前にしながら踵をおろしてきて、踵でふむことです。
足を入れて足趾の動きが悪いと靴の先を床にトントンとつけて履こうとします。

足趾の練習をしたいってなった時に足趾が動いてないのか、踵が動いてないのか、底背屈なのか回内外なのか、そのための評価であれば価値があります。
ADLとしてやる、履けるようになるために、靴を履くところを見ているだけはリハビリではありません。
これこそ自主トレでできることです。

昨日足趾の練習をしていて、次の日に評価として靴の着脱を見るのであれば価値があります。

本人ができるようになってもらうためでリハビリ時間に3分も5分もかけていたらもったいないです。
足趾の練習、底背屈や靴に足趾を合わせていく練習をした方が良いです。

靴を履く動作は看護師へ伝えます、靴の置く位置は設定していますか?
靴の位置が決まっていないのは病棟で履いていないことがわかります。
ここは問題です。

退院した後1人で外出予定ですか?
外出パターンはいつ?
靴を履くのは外ですよね、家の中では裸足です。
外出は他者と一緒である可能性が高いので、靴を履くという動作はそこまで優先順位が高くはないと考えます。
靴の着脱はADL評価であり、リハビリではないので、すぐに介助します。

《起居動作》

起居動作も一緒です。
起居動作は臥位の状態から起こしてきて座位になっていきます。

下肢の質量中心に対して、上肢の質量中心を空間的に移動してくる抗重力活動です。
支持性という下肢、それに対する筋活動、筋出力、皮質からの上位運動ニューロンのコントロールが必要です。

筋力、筋出力をアップしたいってなった時、
歩行でいくとパッセンジャーなのかロコモーターなのか、動いていくものなのか、乗せられていくものなのかを考えた時に、下肢に対して上部体幹をコントロールできる、上部体幹に対して下肢をコントロールする必要があります。

起き上がりは下肢に対して上部体幹を使っていきます。
歩行は上部体幹に対して下肢を使っていく、この切り替えが必要です。

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