ダイバーシティはなぜ必要?
最近、ダイバーシティが大事!とよく聞くようになったように思う。最初に言っておくと、私はダイバーシティはめちゃくちゃ大事だし、それがない組織はこれからの時代においては大きなリスクを背負ったままの経営になると考えている。ダイバーシティがある組織でいることは超重要だ。
一方で、昔の自分はなぜダイバーシティが重要なのか、正直理解できていなかった。多様性なんかなくても優秀な人を集めてさえいれば強い組織ができるものだと勘違いをしていた。それぞれの強みを発揮したカラフルな組織が強いんだよ、と前職の先輩に説明されたこともあるがさらに「だからそれはなんで?」と思うだけだった。
弊社の行動指針には「RESPECT」が入っている。これはダイバーシティのある組織であることを前提とした行動指針だ。自分と違う人がいる環境だからこそ、大切にしようと思って入れた、一見ありきたりだがとても大切な行動指針だ。
今回は、私はこういう理由でダイバーシティは必須だと思うよ、という過去の自分に向けたお話をしようと思う。
多様性のない組織では何が起きるのか
たびたび私は群衆の狂気の話をするのだが、端的に言うと同質化した組織は信じられないような失敗を犯すリスクを孕んでいる。
話は脱線するが、岩崎は1960~70年代の学生運動がなぜあさま山荘事件やその手前の山岳ベース事件を引き起こしたのかに非常に興味があった。本気で日本を良くしたいと考えた熱量の高い、頭の良い学生たちが集まっていたはずなのに、なぜ凄惨な身内でのリンチ殺人事件を引き起こしてしまったのか、当時の私には理解ができなかった。
が、今ならわかる。人間は非常にもろい生き物で、群衆になり一定の条件が揃うと、自分の意思では動けない生き物になってしまう。
・閉じたコミュニティで
・同質の価値観や思想を持った人たちだけで集まると
・その価値観は増幅され
・誤っていても軌道修正ができなくなる
すなわち、そういう同質化したコミュニティ自体が大失敗の原因になる。これは何も昔の話ではなく、普遍的な人間の特性だし、組織としてはもちろん企業も大なり小なりこの病気にかかることは少なくない。
なぜ人は組織になることで賢くなったり、狂気にふれたりするのか、詳細の説明はこのお気に入りのサイトにおまかせしたい。
一通り遊んでもらえただろうか?ここにアクセスした人はもう分かると思う。
憶測でしかないが、ダイナースカードの炎上の話やDHCの人種差別炎上の件も、多様性がない組織で意思決定してしまったことが原因なのではないかなと、個人的には思っている。
多様性があればすなわちOKではない
一方で、ダイナースカードにも女性社員はいたはずだし、DHCにも出自が日本ではない人も少なからずいたはずだ。そこで忘れてはいけないのは、そういう他の人と違う視点を持った人が意見を発し、それがたしかに検討の議題に上がるか?ということが重要だという事実だ。多様性を活かして、上記のような恐ろしい失敗を防止するためには、多様性のある組織でおさえないといけない要件が2つあると考えている。
1. その属性の人の割合
2. その属性の人の発言権
実は人間の認知には「3割ルール」のようなものがあるらしく、極論だが会社の100人中1人だけが女性で、その1人が反対意見を提案したとする。すると他の人は「女性だからそう思うだけだ」と思ってしまう(正直これは自分も心当たりがあるので、胸が痛む)。一方でこれが3割の30人を超えるとそうは思われず「ああ、Aさんはそう思うんだ」と個別に解釈される。この認知のされ方の差分は無視できない。重要な意見が組織の属性割合だけで検討されるか変わるのである。なので弊社においては、もちろん全てにおいて完璧ではないがチームにおける属性割合は気にしていたりする。
↑こういうところに出てくる「30%」というのは実はそういう背景がある(多分)
もう一つはその人が発言権がある立場にいるか?というところだ。世間一般にいう「弊社の半分は女性です!」と言っていながら、経営陣やマネージャーレイヤーには皆無、みたいなのは多様性を活かした組織とは言えず、結果的に多様性のない経営陣だけでの意思決定になってしまう。結局大きな失敗のリスクを孕んだ意思決定が行われてしまうことが容易に想像できる。そういう意味で私は経営陣における女性比率を投資家が確認することには妥当性があると認識している。
多様性があることが弊社の強み
多様性は何もジェンダーや性的指向だけではない。仕事を最優先にしている人もいれば、仕事よりも大切にしてるものがある人ももちろんいるし、雇用形態もいろんなものがあるだろうし、今は想定していないような特性を持った人も迎え入れられる日が来るかもしれない。
それぞれは「自分なんかがここにいていいのかな?」と思うこともあるかもしれないが、そういう人こそここにいる意味があるし、それが弊社の強みの一つであることを認識してどんどん自分の意見を発言してもらえると嬉しい。
PS.この領域はこの本を一冊読むと理解が2億倍くらい進むのでオススメです。
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