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ロールモデルは意外と人生を左右している

皆さんには「この人みたいになりたい!」とかそこまでいかなくても「かっこいいな!」と思う人はいるだろうか。

私も前職時代は「社内には全然女性マネージャーはいないけど大丈夫!努力次第で女性の私でもなれるはず!」と思っていて、ロールモデルの力を過小評価してきたタイプだったので、実は全員が無意識のうちにロールモデルに影響を受けている話をしたいと思う。

今回は個人の価値観の話で、これが正しいからみんなこう考えなさい!と主張する気は一切ない。一方で、科学をかじっていた理学部出身の人間としては研究結果として世に複数回同様の結果が出ているものについてはリスペクトを持って信じたいと思うスタンスの文章であることは否めない。またわかりやすさのため「(生物学的)男女」という書き方をしているが、その他の性もとても重要だと考えている。

白人男性しかいない歴代校長の肖像画

白人男性しかいない歴代校長の肖像画が並んでいる小学校を想像してみてほしい。そう言わなくても、歴代校長の肖像画を思い浮かべて!というと大変の人は上記のような情景を想像するだろう。研究結果によると、こういう小学校で育った女子や黒人男子は「自分は校長にはなれないんだ」と無意識に認識してしまい、たしかに将来の夢に校長先生を上げる割合は白人男子のそれとは比にもならないらしい。
逆もあると思う。例えば、保育士に男性はまだまだ少ないし(子供好きだって多いだろうに女性の職業だと思っていないか?)、秘書だって何故か男性が志すと珍しいと思われるかもしれない(経営者のそばで働ける面白い仕事なのに、なぜ?)。生物学的に雌雄は1/2であるはずなのに、比が1/2から大きく外れる数字になっているのは何かの歪みが生じているのではないだろうか。

これは私自身、とても心当たりがある。先輩起業家はほぼ男性のみという市況感で社会に出た岩崎は、自分が起業して社長になれるなんて当時は一切思っていなかった。なぜか無意識に、起業は男性の仕事だと思っていたので、男性である夫に「いつ起業するの?」なんて言っていたくらいだ(一向に起業する気配がなかったのでしびれを切らし、自分が起業させてもらったのはラッキーだった)。

前職の代表だった綾太郎さんにあのとき「岩崎さんならできるよ」と言ってもらっていなかったら、自分に起業なんか一生できないものだと無意識に思っていたと思う。

ランダムで一定割合の村長が女性になるインドの話

一方、インドでは面白い取り組みをしている地域があるらしい。インドは地域にもよるが、まだ女性が教育を受ける機会に恵まれないところも多い(ちなみにパットマンという映画はその状況もわかりやすく描写されているし、映画としても面白いのでオススメ)。
毎年ランダムに一定数の村の村長を女性にする、という施策をやっている地域があるらしい。すると何が起きたか。女性が村長になった村の女性の進学率が上がったらしいのだ。ロールモデルの力は無意識にその人の人生を左右している。自分の村の村長の性別一つで自分の今後のキャリアを左右するののだ。

この辺の話はワークデザインという本に詳細に実験結果も添えて書いてあるので、興味がある人は是非読んでみて欲しい。ジェンダーのみならず、いわゆるマイノリティにはすべて当てはまる無意識のバイアスの話なので、人や組織に関わる人は履修すべき内容だと思う。

私の夢は令和のロールモデルになること

私はジェンダーに限らず、本人の努力以外の、特に本人が選べない属性によって人生が左右されるのが嫌いだ。だから、アンフェアな転職市場をなんとかしたいと思ってこんな会社をやっている。転職市場も本人の選択や努力と異なるパラメーターの割合が大きすぎるのでそれを是正したいと思っている。
同様に私はジェンダー問題も人種問題も、貧困問題も毎日心を痛めている。少しでも、みんなの努力がフェアに報われる世界になってほしい。

事業で転職市場をなんとかする、あわせて個人として、次の世代のロールモデルになることで「私はXXができない」と無意識に思い込む人を減らしたい。「岩崎にできたんだから、自分にもできるはず」と思ってもらいたい。そのためにはまだマイノリティの自分が成功してロールモデルになるのは必須なんじゃないかなと、勝手な義務感を背負って生きていたりする。


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