ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が公表した「スカラシップ制度廃⽌のお知らせとお詫び」に対しての抗議と質問

声明文

2024年12月17日送付(2025年1月11日、賛同者追記)

2024年11月22日特定非営利法人ゆうばりファンタは、2023年度ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(以下『ゆうばり映画祭』とします)の3部門グランプリ受賞者らに与えられたスカラシップについて「スカラシップ制度廃止のお知らせとお詫び」を公表しました。
私たちは、スカラシップについての十分な告知もなく一方的に廃止としたことへ断固抗議し、説明を求めます。

ゆうばり映画祭のスカラシップ制度とは

2023年6月29日〜7月2日、北海道夕張市で開催されたNPO法人ゆうばりファンタ主催のゆうばり映画祭「長編部門」「短編部門」「アニメーション部門」でのグランプリ受賞者らに対して与えられた権利を指します。

2023年1月10日~4月7日、NPO法人ゆうばりファンタは日本国内外の映像作家を対象に1作品のエントリー料2,200~3,300円を徴収して作品募集を行い、応募総数407作品の中からノミネート作品を選びました。
この募集要項内には各部門のグランプリ作家に賞金のほか「スカラシップの権利」を与えるとしてました。2023年度ゆうばり映画祭オフィシャルサイトに記載されていた「スカラシップ制度」についての記述は下記の通りです。

スカラシップとは…「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」(YIFF)は、プロアマ問わず映画作品を募集し、一流の選考委員による厳選なる審査を経て、各賞を決定します。
2023年の第33回ゆうばり映画祭より、商業作品を製作する制度としてスカラシップを導入します。
製作した作品は、映画館での上映、BD / DVD販売、テレビ放送などを行います。
YIFFが中心となって製作委員会を作り、製作資金・製作体制・配給などをバックアップ
劇場公開レベルの商業映画製作をサポートします。
*スカラシップ権利受賞者の中から製作企画書を提出いただき、対象は1作品のみとなります。

https://www.yubarifanta.jp/2023/scholarship/

しかし、映画祭終了後に受賞者全体へ向けてスカラシップについての詳細連絡は一切なく、2024年11月22日に映画祭公式ホームページにて「スカラシップ制度廃⽌のお知らせとお詫び」を発表しました。
(該当記事:https://www.yubari-fanta.com/news/2024/11/1092.html

この発表について、事実と異なる記載があること、また、映画祭終了後1年以上の沈黙の末、突然の廃止を決定したのちの対応としては説明不十分であることについて、抗議させていただきます。

事実と異なる記載について

ゆうばり映画祭側が公表した文章より、「3部門でグランプリを受賞された方々へ連絡を流し、選考の上、権利を獲得できた方々に応募をかけました」との記載がありますが、2024年12月現在まで、受賞者全体に対しての連絡は届いておりません。
2024年1月、長編グランプリ作家の蔵元政之氏にのみNPO法人ゆうばりファンタ理事千石慎弥氏より連絡があり、企画の構想を問われました。
しかし、その後複数回にわたるやりとりを経ても詳細は告げられず、2024年10月6日にメールにてゆうばり映画祭有志の会の担当窓口を名乗るジャパンプロダクション(株)鷲見麻有氏より、再び蔵元氏にのみ応募案内の連絡がありましたが、

  • スカラシップ企画主任は誰なのか

  • 企画の尺について(短編、中長編などの規定はあるのか?)

  • 制作費はいくらか

  • 企画書・脚本の提出が、2024年内締切という期限の根拠

などの詳細の概要が不明瞭なままでした。
これに対して蔵元氏は10月7日以降、廃止が発表される前日までメールや電話にて質問を投げかけてきましたが、正式な返答はありませんでした。
なお、この間に短編グランプリ作家のリトアニア人監督および、日本窓口担当者の藤田可南子氏には一切の連絡がありませんでした。

したがって、公式からの応募募集は無いまま、受賞者としては一方的な中止発表と変わりないと考えています。

映画祭からの説明責任が十分に果たされていないことについて

スカラシップ廃止の理由として、発表には「運営体制の見直しや本年7月25日の報道等により様々な調査を進めていく形」となったためとの記載があります。
しかし、7月25日の報道以前もスカラシップについての連絡がなされていなかったこと、報道後の10月に蔵元氏のみにはスカラシップの連絡が届いていたことを考えると、報道による影響での廃止というのは理由として納得がいくものではございません。

さらに、運営体制の見直しを掲げつつも、鷲見麻有氏以外のスカラシッププロジェクトメンバーについての記載が一切ないこと、さらには廃止の判断を下したとする理事会のメンバーの記載等がなく、責任の所在が未だ不透明であると感じます。このような状態で、どのようにして見直しをされるのでしょうか。

更に、短編グランプリ受賞監督をはじめとし、海外からのクリエイターも多数参加している『国際』映画祭において、英文の用意なく日本語のみでの発表であることに対しても最低限の配慮も無いことが見られます。

以上より、我々は、スカラシップ制度の関係者である以下の方々に、それぞれ質問へご回答を求めます。

質問内容

①ゆうばり映画祭2023において、実行委員長を務めていたNPO法人ゆうばりファンタ理事長・上田博和氏

  • 今回の発表を決めたNPO法人ゆうばりファンタ理事会参加者の開示

  • スカラシップの進行について認知していた内容と廃止までの経緯

  • 運営体制の見直しについての今後の計画

②ゆうばり映画祭2023スカラシップ制度について実施を決めたNPO法人ゆうばりファンタ理事・千石慎弥氏

  • スカラシップの進行について認知していた内容と廃止までの経緯

  • 2024年1月時点でなぜ蔵元氏にのみ連絡をしていたかの説明と「スカラシップ担当ディレクター」の存在をほのめかしながら、「慎重に物事を進めなければ却下されて終わってしまう」などと発言した意図と、この時点でのスカラシップ担当ディレクターの名前の開示

③スカラシップ担当者 ジャパンプロダクション(株)鷲見麻有氏

  • スカラシップの進行について認知していた内容と廃止までの経緯

  • 2024年10月時点でなぜ蔵元氏にのみ連絡をしていたかの説明

以上の内容について、12月21日までの回答を求めます。

回答について

回答については、事務局の下記のメールにお送りいただきますようお願いします。質問がある場合も、同アドレスにお問い合わせください。

【事務局 メールアドレス】
yubarifanta.creativity@gmail.com

この声明文、及びいただいた回答はこちらのウェブサイトに掲載いたします。
https://note.com/yubarifanta_ship

歴史あるゆうばり映画祭において、このような問題が起きてクリエイターが苦しむことは非常に不本意であり、未来のクリエイターたちに我々と同じような苦労をかけさせないべく断固抗議いたします。


<ゆうばり国際ファンタスティック映画祭・スカラシップ問題追及の会>

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2023 長編グランプリ受賞監督
蔵元 政之

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2023 短編グランプリ受賞 日本担当
藤田 可南子

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2023 元スタッフ
佐藤 賢治

賛同者一同<五十音順> *2025/1/11 現在

赤松亮(映画プロデューサー)
飯塚貴士(映画監督)
岩井悠辰(アニメーション作家)
岩崎友彦(映画監督)
海上ミサコ(映画監督)
海老澤憲一(映画監督)
小幡宙生(映画監督)
尾山洋平(フォトグラファー)
工藤憂哉
KOU(ユーチューバー)
澤田圭佑(実業家)
Shoko.F(書道家)
島村秀男(音楽家)
田中玲美(BAR店長)
田中良彦(一般社団法人シネマ・サポーターズ・アライアンス代表理事)
手塚尚子(元ゆうばり国際ファンタスティック映画祭スタッフ)
にいやなおゆき(映像作家)
西島智子(ファイヤーダンサー)
芳賀恵(韓日翻訳者/元ゆうばり国際ファンタスティック映画祭翻訳・通訳ボランティア)
平谷悦郎(脚本家)
平野博靖(映画配給会社)
古山知美(プロデューサー)
三浦賢太郎(映画監督)
宮本愛里(映像制作会社)
三輪哲也(ゆうばり映画祭ファン 2024年運営体制の問題により不参加)
龍神直也(映画活動家)
山岸由佳(韓日翻訳者)
山田清孝(自営業)
ワタナベカズキ(映像ディレクター)

▼PDFでも同内容をお読みいただけます。


いいなと思ったら応援しよう!