「ファ#」が消え、「ド・ミ・ソ」が重なる明日を願って。
「ソ」と「ド」と「ファ#」。
今、絶賛上映中の映画『WEST SIDE STORY』。巨匠レナード・バーンスタインが手がけた本作ナンバーの多くはこの3音がベースにあるのだという。
安定感のある「ソ」「ド」に、不安定な「ファ#」を続けて対立のヒリヒリ感を表現。
中でもラストシーンは安定感のある和音「ド・ミ・ソ」と不安定な和音「ソ・ド・ファ#」が交互に繰り返される。平和の訪れを予感させつつも、簡単には訪れないことを示しているーー。
これは、バーンスタイン最後の愛弟子である指揮者・佐渡 裕さんに解説していただいた内容である。
想いを巡らせていた夜が明けると、戦争が始まっていた。
とくに今日は、18~60歳男性が出国禁止となる国民総動員令によって離れ離れになる家族やカップルが別れを惜しんでいる様子を見て涙が出た。犠牲になるのはいつだって、ささやかな日常を大切に生きている国民なのである。
21世紀にもなって、まさかこんな無茶苦茶を目の当たりにしようとは。
進化しているようで少しもしていない人類。
それこそが時代、国境を越えて共感を呼び続ける『WEST SIDE STORY』の普遍性に繋がっているのかと思うとただただ虚しい。
「ソ」「ド」「ファ#」は、怒れる若者たちが心を落ち着けようとするナンバー「COOL」でも多用される。
Boy, boy, crazy “Putin”!!!
Get cool, boy!!
世界から「ファ#」が消えて、「ド・ミ・ソ」の優しい和音で包まれるように祈りをーー。
SOMEWHREーー。
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