勇樹さん☆《在宅ワークも慣れましたが運動不足ですよ》ここまで歩いて10分ですが電車通勤で来ました《エッ!》〈カフェ90勇樹9〉
カラン、カラーン。
ドアが開いて入って来たのは勇樹さん。
「おはようございます。ママ」
相変わらずパソコン持って、ここでリモートワークでお仕事。
勇樹さんの会社がリモートワーク、在宅勤務になって何ヶ月か過ぎたけど、家ではうるさいからと時々、ここで仕事をしている。
「おはようございます。勇樹さん」
「仕事させて貰いますね」
「どうぞ、どうぞ」
私は、おしぼりと水の入ったグラスをカウンター置いて、勇樹さんのオレンジ色のパンダのマイカップにコーヒーを準備した。
勇樹さんは、とりあえずカウンターに座り一言。
「ママ、通勤して来ましたよ」
「はぁ?。ま、カフェだけど仕事だから通勤ですね」
私が微笑みながら言うと、
「違いますよ。ちゃんと電車に乗って来ました」
「あれ?。勇樹さん、ここからそんなに遠かったでしたっけ?」
私は、コーヒーをオレンジ色のパンダのマイカップに入れて出した。
「ありがとうございます。10分ぐらいかな。そんなに遠くはありませんよ」
そう言って、勇樹さんはコーヒーを飲んだ。
「10分で電車ですか?。電車使って10分ですか?」
私が聞くと
「歩いてですよ」
「それで、電車ですか?」
私が、また聞くと、勇者さんがアハハと笑った。
「いやいや、在宅勤務になって運動不足で朝早めに起きて、グルッと電車に乗って来たんですよ。何だか懐かしいですよね。通勤していた時は嫌で嫌で。でも、たまには、あの満員電車も懐かしいです」
勇樹さん、何だか、ちょっと嬉しそう。
「そうなんですか?。満員電車はいつでも嫌ですが」
私が、ちょっと嫌そうに言うと
「いや、嫌なんだけど、何て言うかなぁ。懐かしいというか。私はちょっとMっけがあるらしくて」
「はぁ?、そっち。でも、確かに」
私が笑うと
「アハハ、冗談ですよ、ママ、でも確かにちょっと変ですよね。習慣というのは面白いもので、嫌でも何だか懐かしくなる時もあるんでしょうね。それに、運動不足になってしまって。改めて散歩も何だか。だから通勤して来たんですよ」
勇樹さんは、嬉しそうに言った。
「でも、確かに通勤と言うと気持ちも何だか引き締まりますよね。家に居れると思うとだらけちゃうし」
「そうなんですよ。人間って面白いですよね。私だけかもしれませんが」
勇樹さんが、静かに笑った。
「私もそうですよ。楽といえば楽ですが、やっぱりメリハリって大事なのかもしれませんよね」
そんな話をして、勇樹さんはテーブル席に行って仕事をし始めた。
それから、勇樹さんは結構居て、コーヒーを3杯飲んで帰って行った。
私は
「帰りも電車通勤ですか?」
と聞いたら
「帰りは、疲れたから歩いて帰ります」
そう言って、笑いながら帰って行った。
通勤一つとっても、ストレスにもなれば疲れにもなる。かと思えば、それなりに運動にもなっているし、時には、帰りの一杯、息抜きにもなっている。
いろいろな事が、良い事もあるし、マイナスになる事もある。
そして、それさえも、感じ方はみんな違うのだから、本当に人って面白いのかもしれない。
在宅勤務、いろいろ働き方も変わって行くのかな。
少しずつ、春の気配も感じる今日この頃に。
<91>
🌈☕いらっしゃいませ☕🌈コーヒーだけですが、ゆっくりして行って下さいね☘️☕🌈