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経絡治療における腎虚そしてフレイル
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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。
今回は、経絡治療の具体的な、見立ての方法と治療までの流れについて、腎虚を例に書いてみます。
きっかけは伝統鍼灸学会のプログラムに触発されたからです。
私も実行委員を務めている
第52回日本伝統鍼灸学会学術大会 東京大会
が、2024年10月26日(土)・27日(日)に、おこなわれます。
そのプログラムの1つに
シンポジウム『証について』「腎虚証の捉え方と治療」
があり、各流派の4名の先生方がそれぞれの考え方を披露してくれ、それをもとに討議されます。
私も、この機会にまとめて置こうと思いました。
さらに最新の研究も紹介します。
2022年ごろ、漢方の分野で、腎虚スコア、正式には「Japan Frailty Scale:JFS」というものが、大阪大学の萩原 圭祐先生により開発されました。
漢方医学の「腎虚」の概念を踏まえた5つの質問項目により、フレイルをチェックできるものですが、これは鍼灸師でも簡便に腎虚を捉えるツールになるのではないかと思い、ご紹介します。
これにより、簡便に腎虚やフレイルまたはプレフレイルの判定ができます。
今後、鍼灸師としてもフレイル対策を真剣におこなっていくことが大事でしょうから、そのためにも、知っておくといい知識かと思います。
1. はじめに
経絡治療において腎虚は、体力低下や老化と密接に関わる重要な病証の一つです。腎虚の状態は、体のエネルギー(腎気)の不足により、さまざまな症状を引き起こします。
2. 腎虚の症状と診断
腎虚の1つの見立て方法として経絡病証を活用する方法があります。
経絡治療学会の教科書にはこのように書いてあります。
(2) 腎と腎経の病証
① 経絡関連病証
顔面は光沢なく黒っぽい。 肥満 (水太り)。 腰から大腿部の腎経の流れている部位が冷えて痛む。 脚弱。 足腰が冷える。 腰痛。 足の裏が煩熱する。 のぼせ。 疲れて横になりたがる。 根気がなくて疲れやすい。
② 臓腑関連病証
空腹感はあるが、 食べ始めるとすぐに満腹になる。 心窩部のところが空いて気持ちが落ち着かない。 咳して痰に血が混じる。 声がかすれる。 ゼイゼイいう。
立ちくらみ。唾液を吐く。恐れ驚きやすくなる。 口渇。咽喉痛。胸苦しさと心痛。黄疸。下痢。顔面の浮腫。小便不利または自利。精力がない。下腹が張る。耳鳴。 難聴。
③ 経筋関連病証
足底のひきつれ。下肢内側の痛み、痙攣、ひきつれ。
でも初心者には分かり辛いので、具体的に診察方法からみていきましょう。
基本は、足の少陰腎経の流注に沿った症状が多いです。
なので流注は知って置く必要あります。
以前、解説記事も書きましたので参照ください。
3. 四診による腎虚の診断
東洋医学の診断には、四診(望診、聞診、問診、切診)を通じて行われます。上記の、経絡病証を参照しつつ、具体的に診察していきます。
これにより、患者の体質や症状の詳細な評価が可能になります。
望診(ぼうしん)
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