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あなたの知らない経絡の世界~脾経の巻・前編

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前回は、足の陽明胃経の流注(経絡の流れ)について解説しました。

今回は、胃の表裏関係にあたる脾経について書いていきます。

脾経

正式には、「足の太陰脾経」と呼ばれます。

脾経の流注

まず、経絡経穴の教科書に書かれている脾経の流注(ながれ)をみていきましょう。

 足の太陰脾経は、足の陽明胃経の脈気を受けて足の第1指内側端【隠白】に起こり、表裏の境目に沿って内果の前【商丘】を通り、脛骨の後【漏谷】に沿って下腿内側を上り、足の厥陰肝経と交わって前に出て、膝を経て大腿前内側【血海・箕門】を上る。腹部では前正中線外方4寸を上りながら、任脈【中極・関元】、胆経【日月】、肝経【期門】に交わった後、脾に属し、胃を絡う。 

 さらに、横隔膜を貫き、胸部では前正中線外方6寸を上り、外に曲がって側胸部中央[大包]に至る。さらに、上に向かい[中府]を通り、食道をはさみ、舌根につらなり舌下に広がる。 
 
 また、上腹部より分かれた支脈は、横隔膜を貫き、心中で、手の少陰心経につながる。

『新版 経絡経穴概論』

※【】で『類経』などを参考に、ゆーのすけが経穴名を挿入し補足。

十四経発揮 経絡図 脾経
足の太陰脾経の流注(ゆーのすけ作成)

ポイント①脾経の腹部の流注は、文献によって差がある。

まず脾経の流注は足から鼡径部まではそこまで大差ないが、体幹部の流注については文献によって差があるので注意が必要です。

なぜかというと『霊枢』経脈篇の原文に明確な記述がないことが原因でしょう。それを補うものが『鍼灸甲乙経』『銅人腧穴鍼灸図経』などの後世の鍼灸書に記載されていて、どの文献を採用するかによって後世に作られた流注図に差が出てきていると思われます。

例えば

任脈【中極・関元】、胆経【日月】、肝経【期門】に交わった後、脾に属し、胃を絡う。 

教科書では、この上のようにうまくあやふやに書かれていることからもそれがわかります。

下脘→腹哀、関元→腹結は、繋がってない図も存在します。

また

側胸部中央[大包]に至る。さらに、上に向かい[中府]を通り

とありますが、周栄→大包→中府 だけでなく
大包にいく前に枝分かれする 周栄→中府 のパターンも存在します。

大包に行ってしまうと流注がジグザグになってしまうので、周栄→中府と考える方がすっきりだと思います。しかし、上に掲載の自作流注図は多くの書物で採用されていた 周栄→大包→中府パターンで図示しています。

脾経の脚部領域

ここからは部位ごとに脾経の特徴をみていきます。まず「脚」の領域からみていきましょう。

ポイント②:脾経は、足の親指内側からはじまる

脾経を覚える先頭の経穴たちと言えば「隠白・大都・太白」

足の母指は脾経、そして肝経の影響が反映されやすい場所です。
親指が他の指より小さい場合は、先天的に肝と脾に問題がある可能性考慮します。

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