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「本がある場所」は、やっぱり良縁がある場所だった

「本屋さん」と呼ぶには、一般的なイメージとかけ離れた空間。

「古書店」といっても、そんな場所でもない。

確かに、たくさんの古書があって、好きな本を手に取り、購入できる場所。

でもその場所は、そもそも、「お店」という感じがしない。

「本がある場所」という表現がぴったりな素敵な空間。

books kotobanoie(コトバノイエ)へお邪魔しました。

丘の上の閑静な住宅街の一角に建つ、落ち着いた雰囲気の平屋。

月に2回の「開放日」は、自由に出入りすることができます。

私は11月に続いて2回目の訪問になりました。

12月とはいえ、ぽかぽか陽気の暖かい昼下がり。

books kotobanoieは人の家にお邪魔する感覚で玄関から入り、玄関で靴を脱ぎ、大きな本棚に並ぶ本を手に取って、リビングで寛ぎながら自由気ままに本を読むことができます。

無垢の木のやわらかい感触の床に、天井まである高さの大きな窓から差し込む木漏れ日。

室内に流れるジャズの音楽。

心地よすぎる空間で、ホットカーペットで丸くなる猫と一緒に、寝れます(笑)

猫の名を「はる」という。

「はる」なのか、「ハル」なのか、「haru」なのか。
「春」「晴」、、文字にするとどれかは分かりませんが、とても人懐っこいおばあちゃん猫です。


店主・・・いや、家主の加藤博久さんがコーヒーを淹れてくれます。

メニューがあるわけではなく、ただ来た人にコーヒーを淹れてくれるという感じ。

こりゃあ、まるで親戚の家に遊びに来たみたいな感覚です。


そして好きな本を手にとっては、リビングでコーヒーを飲みながらじっくりと、本の世界を楽しむことができます。

加藤さんの「本棚」の本は、どれも「本の佇まい」として魅力的なものばかり。

本のデザインには無類のこだわりがあるそうで、まずはデザインに惹かれた本を購入されるそうです。

「本を売ることよりも、買うことのほうが好き」
「本が売れるということは、自分の本棚から誰かの本棚へと移動するだけ。本は本として、そこに在り続ける」

加藤さんの言葉にただただ共感で、この場所に来ると、普段は本屋さんでまず手に取らないような本を不思議と選んでしまいます。


「本がある場所」に足を運ぶ人も魅力的な人ばかりで、初めてお会いするのになぜか話がはずみます。

そして「またここで会いましょう」なんて言葉を交わして、別れます。

なかには、「今度飲みに行きましょう」なんて話になったおじさんまでいます。

本が繋ぐご縁は、やっぱり良縁でした。

紙とインクでできた、人と人とを繋ぐ「本」が、そして本に魅せられた「人」が、やっぱり大好きなんだなぁ。




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