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台湾の特許事務所に日本のIPランドスケープ現状についてお話ししてきました~すごい知財EXPO運営での出張にて~ #SCE_25

はじめに

すごい知財EXPOの出展者挨拶において、運営リーダーメンバーで台湾の特許事務所に訪問してきました!

その中で、私の経歴として現行本業で担っているIPランドスケープについてぜひお話していただきたいというお声がけをいただきお話ししてきました。

以下は、その内容の紹介や台湾の特許事務所さんの反応について述べていこうかと思います。


訪問特許事務所の紹介(順不同)


JOU AND JOU 特許事務所

事務所説明(HPより)
JOU AND JOU 特許事務所は周良謀により1993年に創立され、優秀で経験豊かな技術/法律の専門チームが支える特許商標事務所です。長年絶え間ない努力により優れたサービスの提供により、現在 JOU AND JOU 特許事務所はすでに台湾でも指折りの特許商標事務所となりました。


理律法律事務所様

事務所説明(HPより)
律法律事務所の歴史は1940年代まで溯ることができます。当時、李澤民弁護士と李潮年弁護士はそれぞれ上海で弁護士業務に従事しており、ともに国際法務を専門として手腕を振るっていました。1953年、李澤民弁護士が台北に事務所を構え、その後1965年に李潮年弁護士がこれに加わり、共同で事務所を主宰することとなり、1970年に事務所の名称を「理律」としました。

全面的な専門分業体制
理律法律事務所では、弁護士、会計士及び弁理士等各専門家が、金融・資本市場、コーポレート及びインベストメント、日本業務、訴訟及び紛争解決、特許及び科学技術、及び商標・著作権等専門分野ごとにサービスを提供しています。


台一国際智慧財産事務所

事務所説明(HPより)
台一事務所は、1976年に、共同創立者である弁護士の林鎰珠、及び商標代理人の林晉章により、林弁護士が20年以上に亘り経営してきた法律事務所から台一国際特許法律事務所に変更されたものであり、それと同時に、台一国際特許商標事務所も設立され、これより、台一は知的財産権に係るサービスを提供する事務所となりました。

台一は、1980年に従業員二百人を超える事務所となって以来、今では、国内外に多数のクライアントを持ち、所員一同の努力によりご依頼頂いた皆様から高い評価を頂いております。また、当所は、国内で業界のトップクラスにありながらも、常に知的財産権の研究を怠らずに行い続け、各分野において主務官庁から高い評判を得ており、知的財産に関連する法律、基準などの改正時に、政府機関から意見を求められる主要な事務所の一つです。


冠群國際專利商標聯合事務所

事務所説明(HPより)
TOPTEAM は、知的財産権保護の包括的なサービスを提供しています。当社のサービスの範囲は、特許、商標、IC レイアウトの出願、法律意見およびカウンセリング サービス、国内外の知的財産権計画と戦略、企業秘密および不正競争に関するコンサルティング、紛争解決および訴訟、ライセンス、技術移転、海外訴訟サポートなどです。

当社の専門技術グループは、電子回路、通信、物理学、コンピューター サイエンス、半導体、機械工学、化学、材料科学、医学、生化学、生命科学、新興技術の分野における特許の才能を有しています。当社の

商標および法律チームは、国内外のクライアントに訴訟、法律意見、カウンセリング サービスを提供する経験豊富な弁護士によって率いられています。TOPTEAMは、台湾および海外のクライアントの需要を満たすために、中国語、英語、日本語でカスタマイズされたサービスを提供しています 。

知財業界最大級のオンラインイベントすごい知財EXPOとは?


コンセプト

すごい知財EXPOは今年で5回目の
Web上から開催時間中いつでも参加可能な「知財業界における年に一度のお祭り」
です。

情報の流動性を「すべての知財人材」が高めるためには「物理的に移動が必要」となり、制約がある「オフラインイベント」では限界があると感じ、オンライン開催にこだわってきました。

すごい知財EXPOは、「知財業界における年に一度のお祭り」をコンセプトに、国内外から最先端のサービスと知財人材が集う場を提供します。

説明資料はこちら


イベント内容

  • 事前セミナー

  • 当日講演

  • ビジネス交流企画

など盛りだくさんです!

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日本のIPランドスケープ現状についてお話した内容


日本の企業におけるIPランドスケープ戦略の現状と課題に関して以下のようなことをお話ししました。

現状

  • 大企業はIPランドスケープを内製化する動きがあり、知的財産部門がコンサルティング技術を取り入れるようになっている。

  • 分析ツールの導入が2017年頃から加速している。

  • 企業はコンサルタントに分析を委託したり、OJTでIPLを学んだりすることが多い。

  • 中小企業やベンチャー企業に対しては、特許調査の過程でIPランドスケープサービスを提供する企業が存在する。

  • 東京証券取引所が2021年6月に公表したコーポレートガバナンス・コード(CGC)の改訂版に、初めて知的財産に関する項目が盛り込まれた。これは、企業に対し、積極的な知的財産への投資や事業への活用を促し、投資家への情報開示を求めるものである。これがIPランドスケープを加速させる一因でもある。

  • 特許庁や関係機関も、IPランドスケープの推進に取り組んでおり、INPIT IPランドスケープ支援事業やIPL推進協議会などが設立されている。

課題

  • 企業は特許事務所に出願戦略以上の内容を共有しにくいという課題がある。

  • 特許事務所は、企業内製と比較した場合の優位性を訴求することが難しい。

  • 特許事務所は、出願業務プロセス中のマクロ分析や戦略提案など、特許事務所ならではのIPランドスケープサービスを提供する必要がある。

今後の展望

  • ベンチャー企業やスタートアップ、VCがIPランドスケープの鍵となる可能性がある。

  • 特許事務所は、企業のコスパに見合う分析パッケージを作成・提供したり、ホワイトペーパーを作成したりするなどの取り組みが必要である。

  • 外部実績をつけるために、政府系機関(INPITなど)に参画したり、ベンチャー企業や中小企業支援にIPランドスケープを組み込んで広報活動を行うことも有効である。

企業事例

  • 旭化成:トップダウンによる推進が強み

  • レゾナック:明確なKPI設定が強み

  • DIC:データ分析の活用が強み



台湾の特許事務所の反応やご意見

知財公開・投資家とのコミュニケーション

意見
日本では上場企業が特許を公開しているが、投資家への説明は難しい。投資家の知財理解が進んでいない。
台湾ではガイドラインがなく、企業ごとに知財管理方法が異なるため、役員会の判断に依存している。
知財公開の手続きが煩雑(黒塗り作業など)で、熱心な対応が難しい状況。
質問
投資家に知財の重要性をどのように説明すれば理解を得られるのか?
日本と台湾の知財公開の仕組みの違いをどう活かせるか?

台湾企業の日本進出とIPLの導入

意見

  • 台湾企業の日本進出が進む中、コンサル費用が比較的低いこともあり、サポートのニーズが増加している。

  • 特許事務所やコンサル会社がIPL(Intellectual Property Landscaping)に参入するハードルは高い。

  • IPLは事務所の知名度向上にはつながるが、直接的な利益にはならない。

質問

  • 台湾企業にIPLサービスを案内する方法は?

    • 事務所ができる範囲のIPLもあり、出願に紐づいた分析整理から始める。 内製化が起きており、事業内の秘密情報に近いなので、事務所としては余計な浪費になるように思う。台湾企業は下からボトムアップすることも必要な状態にあるのではないか?


パテントマップの限界と経営者へのアプローチ

意見

  • パテントマップでは技術の横展開が見えるが、経営者に効果的なデータ提示ができない場合がある。

  • 過去の特許分析では経営者に成果を見せられず、成功につながらなかった印象。

質問

  • なぜパテントマップでは不十分とされるのか?

  • 経営者にとって、最も説得力のあるデータ提示方法とは何か?

    • そのようなことはない。特許分析を作っただけで、見せていただけなような気がする人が多いのではないか? 大事なのは意思決定者がボトルネックになることを把握し、ネクストアクションも伝える必要がある。


企業内での知財推進とIPL導入の課題

意見

  • 知財マインドが高い人材の必要性があるが、経済部門出身者の説得は難しい。

  • IPLへの取り組みは、知財部門の内製化が進んでいるため、事務所が関与する範囲が制限される。

質問

  • 経済畑の人材をどのように説得し、知財マインドを高めるか?

  • 特許事務所として、企業にIPLを推進する具体的な方法は?


特許事務所の役割とコストの課題

意見

  • IPLを目的に、出願とは別に特許事務所へ依頼するのはコスト面で非効率。

  • 1つの事務所で出願とIPLの両方を完結させたいニーズがある。

質問と回答

  • 出願とIPLを1つの事務所で効率的に提供するにはどのような工夫が必要か?

  • クライアントにとって物足りなさを感じさせないIPLの提案方法とは?

    • 個別案件からIPLを始める提案も有効。

    • 出願時、明細書の提案とともに、追加出願の提案の際に、分析を活用するのはどうか?


その他コメント

  • 特許事務所やコンサル会社が、IPLへの参入ハードルがやはり高い、ということが理解できた。

  • (統合報告書における知財情報の開示について)台湾で似たような努力義務の中で、日本と同じように、上場企業のように特許を公開するように呼び掛けている。ガイドラインは存在してない。各企業やり方はバラバラ。


最後に


海外の方とIPランドスケープについて意見交換する、ビジネストリップも初めての経験でしたが、とても有意義な体験でした。
IPランドスケープの悩みは世界共通な部分も多いという新しい知見を得られたとともに、何かしらご支援できたらとも思っております。

LeXi/Ventでは現在進行形の企業でのスキルを活かして、特許情報分析IPランドスケープに関する支援を行っております。


台湾事務所様とのお写真


以上


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