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当たり前にならないように

父が介護老人保健施設(老健)へ入所しました。

入所当日の老健の看護師さんとのやり取りが、小さな棘になって、私の心に刺さったままです。

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病院、施設を問わず、必ず確認される項目の1つに、「体調が急変した時の処置について」があります。「心肺蘇生を希望するか」「AEDの使用を希望するか」を、家族またはキーパーソンとなっている人が決めなければなりません。

このやり取りを、本人の居室で、本人から50センチほどしか離れていないところで、口頭で尋ねられ、直ぐにサインするよう促されました。もちろん、急変時の確認については初めてではありません。私の中で答えも決まっています。それでも、同意書の内容を声に出して読み上げたり(「読み上げる」ということになっているのは理解していますが)、父の様子が気になり直ぐに返答しない私に、「この人、返答に困っているのでは?!」と言わんばかりに、何度も何度も繰り返し言葉にして伝えてくる看護師さんにがっかりしてしまいました。

「ここで、今、答えるのですか?」と尋ねると、「大事なことなので、今すぐ決めてください」と。このやり取りの途中、相談員さんが気づいてくださり、「言葉にしなくていいですよ。○か×で答えていただけますか?」と助け舟を出してくださいました。さらに、○×で答えた返答を読み上げようとする看護師さんをやんわりと止めてくださいましたが、時すでに遅し。私の心には棘が刺さってしまいました。

看護師さんはベテランと思われるご年齢。
ご自分のやり方で、ご自分のタイミングで、てきぱきと様々なことを処理できる方なのでしょう。この時、父は他の職員さんに他のことで話しかけられている状態だったので、「本人には聞かれていない」と判断されたのかもしれません。けれど、私には入所する高齢者への心配りが全く感じられなかった…「聞こえていないだろうから、理解できないだろうから、本人の近くで話してもいい」などと思ってはいけない話題ではないでしょうか。それは父だけではなく、どんな方であれ、自分が急変した時のことを、自分ではない人(家族であれ)が答えているのを聞きたいと思う人はいらっしゃらないと思うから。

看護師さんにとっては、急変時の同意書も手続き上の1つに過ぎないのでしょう。それでもその場にいる方を、どうかご自分に置き換えて考えていただけないでしょうか?

父を預けている身として、感謝しなければならない立場であることは分かっているのですが…心の棘がチクチクするので、ひっそりとnoteに残します。

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