【研究ノート】関西地域のビジネス・コミュニケーションにおける方言の仮想度
今年2021年3月に出版された研究ノートがインターネット上で公開されたようなので、その簡単なご紹介をしたいと思います。
研究ノートについて
研究ノートは、関西学院大学先端社会研究所の紀要論文に掲載されています。タイトルは「関西地域のビジネス・コミュニケーションにおける方言の仮想度」で、関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化学会の発表を踏まえています。
研究ノートの構成は、以下のようになっています。
はじめに
1. 方言威光時代までの変遷
2. 仮想方言の3つの層
3. 関西地域のビジネス・コミュニケーション
4. 職場における関西方言の仮想的使用の示唆
5. 「武器化」現象
6. 「武器化」と「ビジネス方言」の違い
おわりに
先行研究として日本大学の田中ゆかり先生の研究に代表される「方言コスプレ」などがあがられます*が、研究ノート内でも言及している通り、方言をたくさん使うとされる関西では、方言を「コスプレ」としてではなく、地元の方言を「武器」として使う傾向もあるように思えました。そのため、研究ノートでは、関西のビジネスにおける方言の仮想度合いを改めて考察することにしました。
研究ノートでは触れることはできませんでしたが、田中先生はコスプレ方言を、土地と結びついた日々の暮らしの中で用いられる「素の方言」から何らかのレベルにおいてヴァーチャルな方言であるとされており、そのような方言を「ヴァーチャル方言」と呼んでいらっしゃいます*。私の研究ノートでは、カタカナで「ヴァーチャル」ではなく、漢字で「仮想」と表記しています。それは、これまでの田中先生の研究からの違いを示したかったからです。というのも、田中先生の研究が首都圏での調査が主であったのに対して、私が言及する「方言」とは方言をよく使う地域での地元の方言の使用についてだったからです。そのような意図から、田中先生がよく使われるカタカナの表記ではなく、漢字の表記を採用することにしました。
*例えば、田中ゆかり(2016)『方言萌え⁉--ヴァーチャル方言を読み解く』岩波書店
今後について
研究ノートの校正には、関西学院大学先端社会研究所の研究員の方々に本当にお世話になりました。できれば、今後研究ノートの続きも論文にしたいと思っています。
おわりに
研究ノートなどのことについてコメントやご質問などがございましたら、お気軽にコメントください。個人での連絡はresearch gateを始めましたのでそちらからでも可能です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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