表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
大学の本屋さんでなんとなく手にとって読み始めたこの本。若林さんの著書もエッセイ自体も初めて読みましたが、本当にすごく良かったです。
文章もすごく面白かったし、自分自身のこともすごく考えさせられたし、久々にものすごく心に残る本を読むことができました。
読み終えて、ひとり旅に行きたいと思ったし、私ももっと世の中を自分の目で見て感じたいと思いました。自分の生活圏を離れて、全く違う環境で生活する人々との触れ合いやその地の歴史・文化を学んで感じる。そういう経験ってどんどんなくなっているなと思います。
小学生の頃は、学校の授業の一環で歴史的な生活を体験できる博物館や文化センターなどに訪れる機会が多くあったし、自分のアイデンティティーや生活基盤が自立して安定しているものではなかったからこそ、様々な”生活”を感じやすかったし受け入れやすかったように思います。
完全に自立した大人でもなく、でも生活基盤は確立されている今、この本に描かれている若林さんの目を通して見た現実はなんだかすごく刺さりました。もっと広い世界を見てみたいと思いました。
この本を読んでもうひとつ、若林さんのイメージが少し変わりました。
文章を通して熱いものを感じたし、ぼんやりと日々を過ごしている人よりよっぽど人間に興味があって物事への好奇心と意欲を強く持っている方なんだなと感じました。
事前に旅先の国を扱った映画を観たり音楽を聞いたりしてから訪れ、観光して楽しんだり自分の価値観で何かを感じに行くというより、現地に染まるというか生の生活感や現地の人の生を感じようという方が強いような。勉強して知識を有した上で現実を知ろうとする、そういう素直さが素敵だなと思いました。
ただの旅行記ではなく、現地の人々の生活感や若林さんの心情が生々しく描かれていてすごく読み応えがありました。
「キューバ」のラスト、お父さんへの想いには電車の中にも関わらず涙が止まりませんでした。(本当にマスクがあってよかった、、)
私も比較的好奇心の強い方だと思いますが、なかなかここまでの行動力は伴っていません。本や自分の今の生活の中からも学べることはたくさんありますが、その土地の空気や人々の生活を自分の目で見て肌で感じて経験したい。そう強く思いました。
今年の目標がまたひとつ増えました。このような時期だから海外は厳しいけれど、国内でも行ったことのないところはたくさんあります。社会人になる前に、何か目標や目的を持って行くのではなく、ただその土地を感じに行く、そんなひとり旅をしてみたいです。