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西へ(終)

思いつきで遠出を決めた今回の一人旅。
帰りのバスに乗り、基盤の目を通りすぎて高速道路へ。無数に並ぶ防音癖をぼんやりと眺めながら、旅行の思い出に浸る。

食べたもの、泊まったホテル。歩いた足。雑念を消した境内。
暑かった。汗をかいた。9月だったけど、真夏の観光をしたようだった。

京都は僕にとっては地元だけど、京都市外の出身としては、俗にいう京都はずっと憧れの土地であった。なにが魅力なんだろう。寺社仏閣か、おしゃれなカフェか、大路小路の風景か。

東京と比べて地下鉄は高いし、道路は混むし、おおきにぃなんていわれるとこそばゆいし。夜のお店も早くに閉まるし。

子どもの頃、京都市内は僕にとっての大都会だった。なんでもあるし、おしゃれだし、市内に住んでいるというだけでなんかすごく洗練された人のように見えたし。

渋滞していた畿内を過ぎ、滋賀を越え、岡崎へ。
行きはまだつかないかなぁと感じていた距離も、帰りの速度はなぜか早い。
浜松が過ぎ、少し眠る。
バスはよくある観光バスの四列シート。夏休みを謳歌しているのか車内の年齢層に活気がある。

みんなどこにいったんだろう、
何を食べて、何をお祈りしたのだろう。

速度をあげて通りすぎた白いバンの運転手と目があった。一瞬、だったけど、こちらをうらやましそうな顔をして見上げていたのが印象的だった。
屋根に脚立をのせ、車の中にはたくさんの段ボールが積まれていた。働いてるんだろうな。

気づけばバスは清水を過ぎていて、海老名が間近に迫っていた。ずっと快走を続けていた道のりは、少しずつ車が埋まっていく。さっきまでまぶしかった日の光もどこかへいった。

横浜へ到着し、窮屈なバスから解放され、思わず身体を大きく伸ばす。電車に乗り換え、日常へと戻って行く。

次の京都はどこへいこうか。
昔抱いた京都の憧れを僕は今も抱いたまま、よくわからないその魅力の理由を確かめるように、次の旅行の計画をたて始めるのだった。いや、そんなもやもやしたことは全くなく、ただ、京都が好きなんです。僕は。

ラーメン横綱は、僕にとってのソフルフード。これを食べたとき、不思議と涙があふれそうに。 あぁ、 故郷の大路小路よ。 わたしは帰って来た、と。



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