西へ(4)
大原へいく。市内から離れていて、失礼な話僕は子どものころ、大原という場所がどこにあるのかを知らなかった。なんとなく大人同士の話から地名だということは分かっていたのだが、そこはどこにあるのか、どうやっていくのか、どんな場所なのかという情報は全く手に入らなかった。
僕は大原が好きだ。京都に行くときはほぼ、必ずというほど足を運ぶ。
何が好きかというと、俗にいう京都っぽさがないからだ。山々に囲まれ、ひっそりとたたずむ大原は、日本の原風景とでもいうのか、里山の美しい田畑が目の前いっぱい広がっている。
懐かしい景色の流れ、
澄んだ川の水は太陽に照らされキラキラひかり、
田んぼには黄金の稲穂が静かにないている。
静かな風が体を撫でて去ってゆく。
優しい気持ちになれる、そんな場所が大原だ。
もちろん三千院や寂光院、宝泉院など観光場所としても申し分ないのだが、一歩お寺を離れてみれば、(これもまた失礼かもしれないが)リアル日本むかしばなしな風景が心の雑念を洗い流してくれるんだ。
それにしてもこの日も暑かった。汗がとにかくとまらない。額をぬぐったり、水を飲む回数が増える。
三千院で線香を買ったとき(三千院の線香はとっってもいい香りでお気に入り)、現金がほとんどなくなってしまったことに気がつく。
この後寂光院にいこうとしていたので、どうしようと汗をぬぐう。
バスの車内からコンビニが見えたが、三千院からは遠い、暑いしもう帰ろうか、どうしようか、
思わずその場で胡座をかき、人差し指をなめて座禅しそうになった。
三千院を後にし、その足でコンビニへ。そして寂光院へとぐるっと戻る。結果的に大原を歩けてよかったのだが、もぉボロボロに汗をかいて帰りました、という1日でした。
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