たとえ自分の首を絞めてでも(1)
お試しで有料記事にしてみたけど、反応がなかった(デスヨネー)ので、少し修正し、いつもどおりに上げ直してみることにした。
いま現在、あるメーカーの商品開発に関わっている。
元々はパッケージや組立説明書といった、デザイン物の制作という形で関わっていた案件だが、昨年末より、商品の企画段階から関わらせていただくことになった。
色々な意味で、非常に苦労する案件ではあったものの、ようやく形(物理的に)になり、先日手元に届いた。
ここから、パッケージや組立説明書の制作を進めるワケだが、実はずっと引っかかることがあった。
この商品、部類としてはシリーズ玩具だが、特定ナンバリング(たとええばA+B、C+D)の玩具同士を合体させることで、まったく異なる姿になる、シリーズ初の試みを盛り込んだ。
単体でも楽しめるが、2個買うと、更に楽しい。
それが今回、企画段階から関わることで目指した部分だ。
全部で8種構成なので、4種類の合体パターンが盛り込まている。
その存在する合体仕様のうち、ひとつだけ物足りない組み合わせが存在した。
外見はそこそこ変わるが、他のものと比べると、ボリューム不足感が否めない。
諸事情によりサイズダウンをせざるを得なくなったことも理由のひとつだった。
金型も出来上がり、T-1(トライ・ワンの意。業界用語では「ティーワン」と呼ばれ、金型が出来上がった際に行った成形テストで上がってきたものを指す)を手にすると、その引っかかりは更に膨らんだ。
とはいえ、ここまで来て仕様は変えられない。
では、この仕様の中で、出来ることを考えよう。それしかない。
ゼロベースから、やっとここまで来たんだ。諦めるワケにはいかない。
傍から見れば、スーツ姿へとのおっさんが、昼間から玩具をああでもない、こうでもないとブツブツ言いながらいじっている。
事情を知らなければ、割とアレな光景ではあるけれど、苦心の末、当初想定していた合体の仕様とはまた異なる、特徴的な形態が出来上がった。
来たよ!コレだよ!!
早速その仕様を、今のタイミングで、どうすれば盛り込めるかを考える。
組立説明書はほぼ仕上がっているが、新たな組立説明用イラストを手配しなければならない。当然、追加作業となるので、作画の費用が発生する。
しかも、デザイン物の納期もかなり差し迫っているので、そんなに時間をかけるワケにもいかない。
ただ、この商品を買って、ガッカリする子供がいたら…と考えたら、どんなに調整に手間や面倒が生じようとも、黙ってはいられない。
何故なら、後で絶対に後悔するから。
メーカーの担当者に概要と意図を伝え、予算の追加を願い出た。
しかし、本来ならば、既にメーカー側と受発注の契約を締結し、稟議申請も完了しているため、予算を増やしてもらうのは無理な話だ。
結果は「素晴らしいアイディアを出してもらえるのは嬉しいが、予算の工面が出来るかどうか…」という返答だった。
そりゃそうだ。ただでさえ厳しい原価の中で工面して展開している商品だ。コストが上がることは、メーカーにとっても死活問題だ。
なので、覚悟を決めた。
今回の案件については、多少赤字になってでもやろう、と。
とりあえず、納期の都合もあるので進めるしかない。
(つづく)