1位とか2位とかどうでもいいの。ただ私は、バッカス…あなたのことが好き

全季節の中で一番好きなのは冬である。
冷たくて気持ちがシャキンとするし、空気が澄んだようで気分がいいし、あったかさがそのまま心地よさになるし、キラキラしたものが恋しくなるし、朝の光は白っぽくて綺麗だし、何より食べ物がうまい。
寒い分カロリーが必要になるからとか冬のあれこれは脂が乗っているから言うけどそれは飽くまでスパイスにすぎない。シンプルに冬の食べ物が好き。カロリー?脂?願ったり叶ったりだ。

そして今年も会えたね、ラミー、そしてバッカス。私はこの、酒とチョコを味わうためのロングセラーお菓子が大好きだ。純度の高い人生の喜びだと思う。名作文学はやはり面白くロングセラーお菓子はやはり美味しい。気温が下がると美味しいチョコに会える。どんな桶屋?いえいえ、ロッテの粋な計らいに他ならない。ありがとうございます。

そして肩を並べる2人組に優劣をつけるのは本来あまり好きではないのだが、まぁキノコたけのこの話が盛り上がる中で生きてきたものだからなんとなくラミーとバッカスもそんなふうに見てしまう。どっちが上とかいうよりもどっちが好きかみたいな気持ち…例えるなら系統の違う2人組のアイドルとかプリキュアとか…。

その点でいくと私は僅差でバッカスが好きだ。熱で解けて滑らかになった甘い甘いチョコに、リキュールが溶け出してきて一気に香り高くなる。口の中は一気にヒリヒリする熱を帯びて、濃厚な甘さは姿を変えて体の中に消えていく。ああ、私の知る限りもっとも官能的な食べ物だ…とうっとりしてしまう。もっとも、年度初のバッカスはいつもあまりに美味しくてそんなことも言ってられず「ウンマ…」とか言ってる間に食べ終わってしまうのだけど。

しかしいつの頃からか、箱にデカデカと印字されるようになっていた。ラミーは1位、バッカスは2位。ふーん、そうなんだねとクールにやり過ごそうとしたが、しかしこうまっすぐ言葉にされてしまうと私は自分の中にバッカスに対する確固たる想いがあることを思い知らされることになるのだった。

ねえ、バッカス…
私は最初、あなたの美味しさをきちんとわかるようになったとき、狂おしいほど嬉しかった。寒い冬の喜びがひとつ増えて、それはつまりあなたのいる思い出が必然的に私の人生となる運命を掴んでしまったということ。最初はあなたじゃなくて酒入りのチョコが好きなのかもと思って色々試してみたけど、ダメだった。それならただ甘い甘いチョコが好きなのかとも思ったけど、そういうことでもなかったみたい…。

バッカス、あなたじゃなきゃ私ダメだった。ストーブをつけたばかりの部屋が温まるのを待ちながら、何度あなたに助けられたか。季節が巡ってあなたに会えるたび、何度心弾んだか。正直マジで肌が弱くてチョコ食べると一発で肌荒れするけど、あなたに会えるならめちゃくちゃになってもいい…いやそんなことはないけど多少の痛みは構わない、今年もあなたに会えて嬉しい。

さて、今年もいつものバッカス、ウンマ…をやるぞと購入をキメた。なんとなく緊張しながらいそいそと箱を開けると、なんと、なんと、粒の配列が……記憶の中のあなたは12個入ってたのだけど……10個に……なっているゥ!!吹き荒ぶ冷たい風の如し不景気、小さな小さなチョコレートにさえその波は押しかけているのだろうか。

でも、いいんだ。ちょっと寂しいけど、たとえ一箱に一粒しかなくなってもあなたのこと好きだと思う。それこそ某カントリーのマアムだって、最近封を開けるたびに「あれ?シルバニアファミリーのお茶会のクッキーかな?」って言っちゃうけど昔と変わらない美味しさにホッとしたりするもんね。相手に何があってもきっとこの気持ちは変わらないって思わせてくれる存在の、なんと尊いことか。そして、数減ったな…と思いながらも一口食べるとその美味しさに喜ぶ私もまた、変わらず冬とバッカスの訪れを待ち続けるのだろう。
不確かなこの世の中において、多分それってすごく偉大だ。

ちなみに今回はバッカスについて主に焦点を当てているがラミーにはラミーの思い出がある。それは、また後日。

追記:書きました

バッカス、大好き。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?