べっこう飴は台所の琥珀

何故かわからないが、ずっと憧れの食べ物である。

べっ甲、あるいは艶々の琥珀のような色。絶対に美味しいことが確約されている少し焦げたお砂糖の味。水と砂糖が一つになって固まると生まれる宝石である。実にシンプルで不思議な自然ではないか。

スーパーで袋詰めになって売られているものも大好きだし、駄菓子屋さんなどにあるべっこう飴も好き。もっと言えば自分で作るのも好きだ。


小さなお鍋に水とお砂糖を入れ、フツフツとするのを楽しみに熱する。小さな泡が出はじめたら液の色の変化を待つ。そうして頃合いを見て、クッキングペーパーを敷いたトレイに流し入れ、固まるのを待つ。


待つ料理だ。そのあいだずっと甘い香りが漂う。幸せな時間さえも生む、お砂糖はなんて素敵な存在であろうか。出来上がった飴は単体でひとかけずつ舐めたりパリパリと食べたりするのも実に良い。


オススメはイチゴなどのフルーツにかけて固めるやり方である。あらかじめフルーツをクッキングペーパーの上に並べて置いて、鍋から飴をスプーンですくってかけていくのだ。


薄めが美味しい。飴の膜をパリっと噛むと中の果実から果汁が溢れ、果物だけで食べるよりも甘く食感も豊か。


自然が生んだ砂糖の奇跡を自然が育んだ宝石である果物にかけ、味わう私もまた自然の中のひとつである。キッチンの娯楽からこんなに壮大な幸せを得られるので、べっこう飴を食べる時、つくづく人間でよかったと思うのだ。


べっこう飴、大好き。

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